工場で指切断で労災の金額や後遺症は?指の怪我で仕事を休むと慰謝料は?

指切断事故では労災被害者の落ち度を指摘されることも!
適正な賠償金を獲得するなら弁護士に相談を!
仕事中の事故で指を切断した場合、労災認定されると労災保険から保険金が支払われます。
仕事で指を切断した場合、どの指のどの関節より先を何本切断したかに応じて、労働基準監督署において後遺障害等級が認定されます。
また、労災発生の責任が会社にある場合、会社に対して損害賠償請求することができます。
このページでは、法律事務所リンクスの労災に強い弁護士が「指を切断した場合の後遺障害等級」や、「労災保険から受けられる補償の内容」、「会社に請求できる損害賠償金について」などを広く紹介します。
仕事で指を切断した場合の労災保険の給付金額一覧と請求の流れ
仕事で指を切断した場合、労災保険からもらえる主な金額には次のものがあります。
療養補償給付 | 指切断の治療費の補償 |
---|---|
休業補償給付 | 指切断で仕事を休み減った給料の補償 |
障害補償給付 | 指切断による後遺障害に対する補償 |
療養補償給付の金額と請求の流れ
療養補償給付は、労災で負ったけがを治療するのにかかる費用を補償するものです。
労災認定されれば、治療費は労災保険から支払われ、原則として自己負担はありません。
労災指定病院で治療をした場合、窓口で「労災保険を使いたい」と伝えれば、自己負担なく治療を受けることができます。
労災指定外の医療機関で治療を受けた場合は、治療費はいったん自己負担することになりますが、労基署に申請すれば返金してもらうことができます。
療養補償給付の支給の申請は会社が代行してくれることが多いですが、小さな会社で申請をしてくれる人がいない場合には、ご自身で労基署に療養補償給付の支給を申請することになります。
休業補償給付
労災によって仕事を休んで給料が減ってしまった場合、労災保険から休業補償給付が支払われます。
具体的には、会社を3日以上休んだ場合、4日目の休業分から、給料の60%が支払われます。
また、別途「社会復帰促進等事業」より、「休業特別支給金」として、追加で給料の20%が支払われます。
休業補償給付の支給の申請も会社が代行してくれることが多いですが、小さな会社で申請をしてくれる人がいない場合には、ご自身で労基署に休業補償給付の支給を申請することになります。
障害補償給付
労災で指を切断した場合、どの指のどの関節より先を何本切断したかに応じて、労働基準監督署において後遺障害等級が認定されます。
労基署において後遺障害等級が認定された場合、労災保険から障害補償給付をもらえます。
後遺障害等級の認定を受けるには、障害補償給付の支給申請書に診断書をつけて労基署に提出する必要があります。
労災保険において後遺障害等級1~7級が認定された場合、「障害補償年金」「障害特別年金」「障害特別支給金」が支払われ、後遺障害等級8~14級に認定された場合、「障害補償一時金」「障害特別一時金」「障害特別支給金」が支払われます。
具体的には、次の表のとおりで、後遺障害等級1~7級が認定された場合、「障害補償年金」は給付基礎日額の何日分の年金、「障害特別年金」は算定基礎日額の何日分の年金が支払われ、後遺障害等級8~14級に認定された場合、「障害補償一時金」は給付基礎日額の何日分の一時金、「障害特別一時金」は算定基礎日額の何日分の一時金、「障害特別支給金」は定額が支払われます。
等級 | 障害補償年金・一時金 (給付基礎日額) |
障害特別年金・一時金 (算定基礎日額) |
障害特別支給金 |
---|---|---|---|
1級 | 年313日分(年金) | 年313日分(年金) | 342万円 |
2級 | 年277日分(年金) | 年277日分(年金) | 320万円 |
3級 | 年245日分(年金) | 年245日分(年金) | 300万円 |
4級 | 年213日分(年金) | 年213日分(年金) | 264万円 |
5級 | 年184日分(年金) | 年184日分(年金) | 225万円 |
6級 | 年156日分(年金) | 年156日分(年金) | 192万円 |
7級 | 年131日分(年金) | 年131日分(年金) | 159万円 |
8級 | 503日分(一時金) | 503日分(一時金) | 65万円 |
9級 | 391日分(一時金) | 391日分(一時金) | 50万円 |
10級 | 302日分(一時金) | 302日分(一時金) | 39万円 |
11級 | 223日分(一時金) | 223日分(一時金) | 29万円 |
12級 | 156日分(一時金) | 156日分(一時金) | 20万円 |
13級 | 101日分(一時金) | 101日分(一時金) | 14万円 |
14級 | 56日分(一時金) | 56日分(一時金) | 8万円 |
「給付基礎日額」の計算方法は、次の計算式のとおりです。
「給付基礎日額1日分=労災発生前3ヶ月に受け取った給料の合計÷該当する期間の3ヶ月の日数」
例えば、月給30万円の人が労災に遭った場合、労災発生前3ヶ月に受け取る給料の合計は90万円です。該当する期間の日数が合計90日だった場合、「給付基礎日額」は1万円になります。
「算定基礎日額」の計算方法は、次の計算式のとおりです。
「算定基礎日額1日分=労災発生前に受け取ったボーナス(特別給与)÷365」
労災発生前に受け取ったボーナスが73万円の場合、「算定基礎日額」は1500円になります。
指切断で仕事復帰はいつから
指切断で仕事復帰できる時期は、業務内容やどの指を切断したのかによって異なります。
指切断後の皮膚は1ヶ月程度経てば成熟してくることが多いですが、指先を使う仕事の場合には仕事復帰に時間がかかります。
また、その業務に不可欠な指を切断した場合には、仕事に復帰できるかどうか、医師や会社と相談しなければなりません。
一度復帰すると、休業補償給付が打ち切られますので、仕事復帰は慎重にしましょう。
労災で手指を切断負傷した場合の後遺障害等級
労災で指を切断した場合の後遺障害等級は下記の表のとおりです(用語の意味は次のとおり)。
- 「手指を失ったもの」とは、母指は指節間関節、その他の手指は近位指節間関節(PIP関節)以上を失ったものであり、指先を失っても手指を失ったとはなりません。
- 指先の骨(末節骨)の半分以上を失った場合には、「手指の用を廃した」ものとして扱われます。
- 「手指の用を廃した」とは、②に加えて、指の骨折などで、母指は指節間関節(母指IP関節)か中手指節間関節(MP関節)、その他の手指は近位指節間関節(PIP関節)か中手指節間関節(MP関節)の可動域が骨折していない側の可動域の2分の1以下に制限されることとなった場合などです。
障害等級 | 金額 |
---|---|
3級 | 両手の手指の全部を失つたもの |
4級 | 両手の手指の全部の用を廃したもの |
6級 | 一手の五の手指又は母指を含み四の手指を失つたもの |
7級 | 一手の母指を含み三の手指を失つたもの又は母指以外の四の手指を失つたもの 一手の五の手指又は母指を含み四の手指の用を廃したもの |
8級 | 一手の母指を含み二の手指を失つたもの又は母指以外の三の手指を失つたもの 一手の母指を含み三の手指又は母指以外の四の手指の用を廃したもの |
9級 | 一手の母指又は母指以外の二の手指を失つたもの 一手の母指を含み二の手指又は母指以外の三の手指の用を廃したもの |
10級 | 一手の母指又は母指以外の二の手指の用を廃したもの |
11級 | 一手の示指、中指又は環指を失つたもの |
12級 | 一手の小指を失つたもの 一手の示指、中指又は環指の用を廃したもの |
13級 | 一手の母指の指骨の一部を失つたもの 一手の小指の用を廃したもの |
14級 | 一手の母指以外の手指の指骨の一部を失つたもの 一手の母指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの |
【参考:後遺障害等級表 – 厚生労働省】
労災で指を切断した場合に会社に慰謝料を請求するための3つのポイント
指切断事故では、労災認定自体は問題ないことが多いですが、会社から適正な慰謝料をもらうためにはクリアしないといけない3つの課題があります。
- 後遺症が残った場合には適正な後遺障害等級を獲得する
- 安全配慮義務違反を認めさせる
- 労災被害者の落ち度による減額幅を小さくする
①後遺症が残った場合には適正な後遺障害等級を獲得する
労災で指を切断した場合、後遺障害等級に応じてもらえる障害補償給付の金額が変わることについては既に説明しましたが、慰謝料の金額も後遺障害等級に応じて変わります。
後遺障害等級ごとの慰謝料の金額は次の表のとおりであり、適正な後遺障害等級を獲得することが適正な慰謝料をもらうことに繋がることがよくお分かりいただけると思います。
後遺障害等級 | 金額 |
---|---|
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
②安全配慮義務違反を認めさせる
労働者が指を切断した場合に会社に慰謝料を請求するには、安全配慮義務違反等の損害賠償責任を認めさせる必要があります。
安全配慮義務とは、労働者が指を切断する労災事故を起こさないよう安全対策を取る義務のことです。
指を切断する労災事故の場合、労働者側に落ち度があることが多いですが、会社には労働者が作業ミスをすることを想定して安全対策を取る義務(安全配慮義務)があるので、労働者に落ち度があるからと言って、安全配慮義務違反が認められないということにはなりません。
もっとも、会社側が、労働者の一方的過失による事故であると主張し、裁判所が会社側の安全配慮義務違反を認めなかったという事例もあるため、会社にどのような安全配慮義務違反があったのかについて、きちんと証明する必要があります。
具体的には、操作方法や作業手順、注意事項に関する安全教育の有無・内容、事故防止措置の有無・内容などを確認し、例えば「プレス機については、安全囲いを設ける等当該プレス等を用いて作業を行う労働者の身体の一部が危険限界に入らないような措置を講じなければならない。」(労働安全衛生規則131条)に違反していることなどを主張立証することが考えられますが、このようなことをきちんと主張立証するには、労災に強い弁護士への相談が不可欠です。
③労災被害者の落ち度による減額幅を小さくする
手指の切断事故が起きた場合、残念ながら労災被害者側の落ち度が少なくないと評価されることが多く、労災被害者の落ち度(過失割合)は低い場合で30~40%、高い場合には80%認められることがあります。
被害者の過失割合分については、会社への慰謝料請求から差し引かないといけませんので、過失割合の違いは、慰謝料の金額に大きな差を生みます。
例えば、後遺障害7級の場合、後遺障害慰謝料は1000万円ですが、被害者の過失割合が40%だと600万円もらえますが、被害者の過失割合が80%だと200万円しかもらえないのです。
労災被害者の過失割合が高いとされる場合としては、労災被害者がその危険を認識しつつ自身の判断で本来の工程とは異なる方法で作業した場合や労災被害者が熟練していた場合などです。
これに対し、安全教育やマニュアルの不備がある場合、危険な作業方法が常態化していた場合、事故以前に同種事例が発生していたのに対策を取っていなかった場合、長時間労働で疲労していた場合などには労災被害者の落ち度を抑えることができますので、これらを主張立証していくことが必要となります。
労災被害者のための無料電話相談実施中
法律事務所リンクスの無料電話相談では、労災に強い弁護士が、労災被害でお困りの被害者の方やご家族のための電話での無料相談を実施しています。
労災で大怪我をした場合、仕事に復帰できるのか、今後の生活はどうなるのか、後遺障害が残ったらどうすればよいのかといった不安が大きいこといます。
弁護士に依頼すれば、どのように対応すればよいかのアドバイスを受けたり、着手金0円で窓口を任せたりすることができますので、治療や仕事復帰に集中することが可能です。
労災で怪我をしてお困りの被害者の方は、0120-917-740にお電話を頂くか、LINEで労災の無料相談をお申し込みください。
労災で指を切断した場合に会社に損害賠償請求する流れ
労災で指を切断したことについて、会社に損害賠償責任が認められる場合、損害賠償請求することができます。
会社に損害賠償請求をする場合、次のような流れで進めます。
- 会社に損害賠償責任が認められるかを検討する
- 会社に損害賠償請求する金額を計算する
- 会社と示談交渉する
①会社に損害賠償責任が認められるかを検討する
会社は労働者に対して次のような義務や責任を負っており、これらの義務に違反した場合に損害賠償責任を負うことになりますので、これらの義務に違反しているかを検討する必要があります。
安全配慮義務 | ・従業員の安全や健康を守るために配慮すべき義務のこと
・具体例:安全装置の設置、機材の使い方に対する指導、マニュアルの配布、従業員の労働時間の管理など |
使用者責任 | ・従業員が他の従業員や第三者に対して損害を負わせてしまったとき、会社が連帯責任を負う |
工作物責任 | ・土地に設置された工作物が安全性を欠いていたことで労災が発生した場合、その工作物の占有者・所有者が損害賠償責任を負う |
②会社に損害賠償請求する金額を計算する
会社に損害賠償請求する金額を計算するには、どのような種類の金額を請求できるのかを知る必要があります。
具体的には、次のような種類があります。
慰謝料
慰謝料とは簡単にいえば「精神的苦痛に対して支払われるお金」のことです。
慰謝料は労災保険から支払われませんので、会社に請求する必要があります。
指を切断した際に支払われる可能性があるのは次のの2種類の慰謝料です。
・入通院慰謝料:けがにより通院を余儀なくされたことに対する慰謝料。入通院の実績や期間によって金額が決まる。
・後遺障害慰謝料:後遺障害を負ったことに対する慰謝料。認定された後遺障害の等級によって金額が決まる。
慰謝料の金額について詳しく知りたい場合には「労災で慰謝料は会社に請求できる?損害賠償や示談金の相場は?」をご覧ください。
慰謝料以外の損害賠償金
労災保険が支払う療養補償給付、休業補償給付、障害補償給付は、被害者が負った損害の全額を補償するものではありません。
労災保険が補償しなかった損害については会社に対して損害賠償請求することになります。
治療関係費等 | 療養補償給付で支払われなかった個室代・差額ベッド代などの賠償 |
休業損害 | 休業補償給付で支払われなかった給料の4割の賠償 |
後遺障害逸失利益 | 障害補償給付で賄えない将来得られたはずの所得の賠償 |
③会社と示談交渉する
損害賠償金が計算できたら、計算した金額を基に示談交渉することになりますが、示談はやり直せませんので、きちんと交渉する必要があります。
後遺障害等級に見合う示談金を受け取れるよう示談交渉をするには、交渉のプロである弁護士のサポートが不可欠です。
指切断で後遺障害が残ったら労災に強い弁護士に相談した方がよい理由
後遺障害の申請をサポートしてくれる
指を切断すると、後遺障害が認定される可能性がありますが、診断書の作成や労災への申請は面倒です。
弁護士に相談すれば診断書の作成のアドバイスをもらえますし、依頼をすれば労災の申請のサポートをしてくれます。
損害賠償金を計算してくれる
先ほどもご説明したとおり、示談はやり直せませんので、漏れのないよう損害賠償金を計算する必要があります。
弁護士に相談すれば損害賠償金の概算を見せてくれますし、依頼すれば適正な計算をしてくれます。
会社と示談交渉してくれる
労災が発生した際、会社に原因や責任があるとなれば、損害賠償請求を行うことができます。
その場合、会社と示談交渉をする必要がありますが、労災被害者本人が交渉した場合、会社が素直に責任を認め、賠償金を支払ってくれるとは考えにくいです。
弁護士に依頼することで、会社ときちんと示談交渉して、適正な損害賠償金を獲得してくれます。
労災で指を切断した場合のまとめ
仕事中に指を切断するけがを負うと、それが労災認定され、労災保険から保険金が支払われます。
指の切断は、症状がはっきり見えるため、後遺障害認定される可能性が高いです。認定された場合には、「障害補償給付」などの保険金を受け取ることができます。
また、労災の原因に関して、会社に原因や責任がある場合、会社に対しても損害賠償請求をすることができます。会社に損害賠償請求する場合、労災保険では補償が足らなかった分や慰謝料などを請求することができます。
会社と示談をする際、自分で交渉をしようとすると、相手にしてもらえなかったり、相場より安い金額を提示されてしまう可能性があります。
適切な等級に後遺障害認定され、適切な示談金を受け取るには、労災に強い弁護士に相談することが大切です。
労災でお困りごとがある方は、お気軽にご相談ください。法律事務所リンクスの労災に強い弁護士が、無料電話相談でわかりやすく説明いたします。
労災被害にあったら労災に強い弁護士に無料相談・電話相談を!
これまでご説明してきたとおり、労災は労基署と会社という2つの組織を相手にしなければならない上に、手続きも複雑であるため、労災で怪我をした本人やそのご家族だけで進めていくことには限界があります。
法律事務所リンクスの労災に強い弁護士の無料相談・電話相談では、手続きの進め方や後遺障害等級、慰謝料の見込みについて丁寧にご説明させて頂いております。
法律事務所リンクスでは着手金を0円とさせて頂いており、ご依頼頂ける場合にも経済的負担を心配される必要はございません。
まずはお気軽に法律事務所リンクスの無料相談・電話相談をご利用ください。
このコンテンツの監修

弁護士法人法律事務所リンクス
代表弁護士 藤川 真之介
全国の労働災害の被害者の救済のため無料電話相談に取り組む。京都大学法学部卒業。2007年弁護士登録(日弁連登録番号35346)。京都弁護士会所属。2015年に法律事務所リンクスを設立し、2016年に弁護士法人法律事務所リンクス(日弁連届出番号1030)として法人化。現在、東京と京都にオフィスがある。