労災の症状固定とは?誰が決める?働けないと一時金は?

労災の症状固定前の対応で後遺障害等級が変わる!
症状固定前に弁護士に相談を!!
労災の症状固定とは、「その傷病に対して医学上一般に承認された治療をしても残存する症状の改善が期待できなくなった状態」のことを指します。
主治医が治療が効果を上げなくなったと判断すると「症状固定」となり、労災保険は療養補償給付・休業補償給付を打ち切ります。
労災被害者は、後遺症が残っている場合には、主治医に診断書を作成してもらって、後遺障害等級の認定を受ける必要があります。
このページでは、法律事務所リンクスの労災に強い弁護士が、「労災の症状固定とは」「労災の症状固定は誰が決める?」「労災の症状固定までの期間」「症状固定をして働けない場合は一時金をもらえる?」などについて解説します。
労災の症状固定とは
労災の症状固定とは、治療をこれ以上続けても回復が見込めず症状が残った状態のことです。
労災で怪我をする前の健康状態を100として、労災で怪我をしたことで健康状態が20まで悪化したとしても、治療を続けていくうちに30、40と徐々に回復していきます。
その後100まで回復したら完治になりますが、例えば肩を骨折して180度挙がっていた腕が、リハビリを続けたにもかかわらず135度までしか挙がらなくなった場合など、100まで回復しないということがあります。
このような場合、医師が「これ以上治療を続けても回復する見込みがない」と判断すれば、これ以上治療を続けても効果が上がりませんので、「症状固定」となります。
労災の症状固定は誰が決める?
労災の症状固定を誰が決めるかは主治医であるのが原則ですが、主治医が症状固定を決める前に労災保険が療養補償給付を打ち切ることもあります。
症状固定となった場合、後で説明するとおり、労災保険は療養補償給付・休業補償給付を打ち切りますので、労災被害者として治療を継続したいと考えていたり、休業の必要があると考えている場合には、医師に自分の状況をきちんと説明をして、症状固定と診断されないようにする必要があります。
労災保険から症状固定に関連する照会が来た場合にきちんと教えてもらえるよう、主治医に伝えておくことが大事です。
労災の症状固定までの期間は?1年半?
労災の症状固定までの期間は怪我の程度によりますが、後遺障害等級の認定を受けるには半年以上が必要とされており、重傷の場合でも1年半が目安とされることが多いです。
症状固定となると、休業補償給付が打ち切りになるので、休業の必要がある間は安易に症状固定に応じないようにした方がよいですが、あまり治療を引き延ばすと、医師がこれだけ治療したのだからある程度は治っただろうと判断して、適切な診断書を作成してくれないということにもなりかねませんので、症状固定のタイミングはとても大事です。
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労災で大怪我をした場合、仕事に復帰できるのか、今後の生活はどうなるのか、後遺障害が残ったらどうすればよいのかといった不安が大きいこといます。
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労災の症状固定のその後は?働けないと一時金は?
療養補償給付の打ち切り
労災で怪我をした場合、労災保険から治療費に当たる療養補償給付が支払われますが、症状固定となった場合には、治療が効果を上げていないと判断されることとなるので、療養補償給付は打ち切りになります。
治療を続ける必要がある場合には、主治医に症状固定の判断を先延ばしにしてもらう必要があります。
休業補償給付の打ち切り
労災で怪我をして休業が必要と認められた場合には、休業補償給付が支払われますが、休業の必要がなくなった場合のほか、休業の必要がある場合でも症状固定となった場合には、休業補償給付は打ち切りになります。
休業を続ける必要がある場合には、主治医に症状固定の判断を先延ばしにしてもらう必要があります。
障害補償給付(一時金・年金)の申請
症状固定の際に後遺症が残っていると診断された場合、障害補償給付(一時金・年金)の申請をすることができます。
申請の結果、後遺障害等級が認定された場合には障害補償給付(一時金・年金)が支払われますが、後遺障害等級が認定されなかった場合には障害補償給付(一時金・年金)は支払われません。
労災の症状固定に書類は必要?
労災で症状固定し、障害補償給付を申請し、後遺障害等級の認定を受けるには、次の書類が必要です。
- 労働者災害補償保険診断書
- 障害補償給付支給請求書(様式第10号)または障害給付支給請求書(様式第16号の7)
- レントゲン、CT、MRIなどの画像や検査結果が記載された書類
労災の症状固定のその後
労災の症状固定のその後にするのは、後遺障害等級の認定の手続きです。
症状固定をめぐる一連の流れは次のとおりです。
①症状固定前に必要な検査を受ける
症状固定となると療養補償給付が打ち切りになるので、症状固定までに必要な検査を受ける必要があります。
具体的には次のような検査があります。
- レントゲン、CT、MRIなどの画像の撮影
- 関節の可動域の検査
- 神経学的検査
②主治医に検査結果を基に診断書を作成してもらう
検査が一通り完了したら、主治医に検査結果を基に診断書を作成してもらいます。
後遺障害等級の認定には、診断書が不可欠なので、必ず依頼するようにしてください。
診断書の内容は、どのような後遺障害等級が認定されるかと深くかかわるので、診断書の作成を依頼する前に、労災に強い弁護士に相談することをお勧めします。
③労働基準監督署に障害補償給付を申請する
後遺障害等級の認定に必要な書類が揃ったら、障害補償給付の請求書に添付して、労働基準監督署に提出をします。
労働基準監督署は、後遺障害等級の認定に必要な調査や面談を実施します。
面談では、提出された資料だけではわからない本人の状況を確認します。
④後遺障害等級の認定結果の通知
労働基準監督署による調査・面談が完了すると、後遺障害の認定結果が通知され、後遺障害等級に基づいて障害補償給付(一時金または年金)が支払われます。
⑤審査請求(不服申立て)
後遺障害に認定されなかったり、見込んでいた等級より低く認定された場合、3ヶ月以内に審査請求(不服申立て)をする必要があります。
労災では会社に対しても損害賠償請求ができる
労災発生時について会社が責任を負っている場合、労災保険からの給付に加えて、会社に損害賠償を請求することができる場合があります。
労災被害者が労災で負った損害のうち、労災保険が支払うのは一部です。
例えば、休業補償給付は減った給料全額を支払ってはくれませんし、障害補償給付は後遺障害が残ったことで受け取れなくなった将来の所得の一部しか支払ってくれません。
また、労災保険は、労災被害者が負った精神的苦痛に対する慰謝料については、まったく支払ってくれません。
これらの損害については、労災発生に責任を負う会社に賠償してもらう必要があります。
労災の損害賠償は労災に強い弁護士に相談を
これらの損害について、会社に損害賠償請求をする場合には、労災に強い弁護士への相談が不可欠です。
損害賠償請求をする場合、まずは示談交渉から行うのが一般的ですが、被災者自身が交渉しても、話を聞いてもらえなかったり、賠償金の額が少なくなってしまったりする可能性があるからです。
また、被災者本人が損害賠償金の計算方法や、金額の相場を知らないことも多いので、適切な賠償を受けられない可能性があります。
労災に強い弁護士に依頼すれば、適正な損害額を算定し、会社との交渉を一貫して任せることができます。
弁護士に損害賠償請求を依頼するかしないかで金額が大きく変わりますので、一度弁護士に相談することをおすすめします。
労災の症状固定でよくある質問
労災の症状固定後の治療費は健康保険を使っていい?
労災で症状固定をすると、労災保険は治療費を支払ってくれなくなります。
この場合、労災による怪我の治療は終わり、一般的な病気の治療に移りますので、健康保険を使って治療することになります。
労災の症状固定後に再発したらどうなる
労災で症状固定をしたら、治療費の負担などは打ち切りになりますが、症状が再発した場合、一定の条件をみたせば、再び療養補償給付や休業補償給付を受け取ることが可能です。
「症状が再発した」と認められるには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
①再発したけがと、当初負ったけが(労災)に医学上の関連性がある
②かつて治ゆした状態から悪化している
③治療することで回復の見込みがある
労災によるけがが再発したと認められるには、医学的な判断が重要になるため、医師に相談しましょう。
例えば、症状固定後に「骨折時に埋め込んだプレートを、再び取り除く手術」をする場合も再発として扱われることがあります。
労災の症状固定のまとめ
労災でけがが完治せず、後遺症が残ってしまった場合、労働基準監督署によって「後遺障害」に認定されることがあります。
後遺障害に認定されることで、労災保険から「障害補償給付」、会社に対しては「後遺障害慰謝料」や「後遺障害逸失利益」を請求できるようになります。
これらは、後遺障害に認定されてはじめて受け取れるものですので、後遺障害に認定されることが極めて重要です。
そして、後遺障害認定の第一歩となるのが、症状固定です。「これ以上治療を続けても回復の見込みがない状態」になったとき、医師が症状固定の診断をします。
症状固定後、後遺障害診断書などを作成し、後遺障害認定の手続きを受けることになります。自己判断で途中で治療をやめてしまうと、「けがが完治した」と見なされることがあるので注意しましょう。
労災や症状固定、その後の後遺障害認定や、会社への損害賠償金の請求など、気になることがあったら労災に強い弁護士に相談しましょう。
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これまでご説明してきたとおり、労災は労基署と会社という2つの組織を相手にしなければならない上に、手続きも複雑であるため、労災で怪我をした本人やそのご家族だけで進めていくことには限界があります。
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このコンテンツの監修

弁護士法人法律事務所リンクス
代表弁護士 藤川 真之介
全国の労働災害の被害者の救済のため無料電話相談に取り組む。京都大学法学部卒業。2007年弁護士登録(日弁連登録番号35346)。京都弁護士会所属。2015年に法律事務所リンクスを設立し、2016年に弁護士法人法律事務所リンクス(日弁連届出番号1030)として法人化。現在、東京と京都にオフィスがある。