労災の診断書とは?もらい方や費用は?会社に提出が必要?

労災の診断書作成前の対応で後遺障害等級が変わる!
診断書作成前に弁護士に相談を!!
労災の診断書とは、労災で怪我をして後遺障害が残った場合に障害補償給付を申請する際に必要となる所定の書式の診断書のことを指すのが一般的です。
労災保険から支払われる傷病補償年金、介護補償給付、遺族補償給付、葬祭料の受給にも診断書は必要ですが、療養補償給付や休業補償給付の受給に診断書は必要ありません。
このページでは、法律事務所リンクスの労災に強い弁護士が、「労災の診断書とは」「労災の診断書が必要となる場合」「労災の診断書のもらい方」「労災の診断書の作成にかかる費用」「労災の診断書の提出先」等について解説します。
労災の後遺障害について詳しく知りたい方は、「労災で後遺障害!後遺症認定率が高い診断書とは?申請の流れは?」をご覧ください。
労災の診断書とは?労災の診断書が必要となる場合は?
労災の診断書とは、労災保険から「障害補償給付」を受給するのに必要な書類のことを指すことが多いですが、「傷病補償年金」「介護補償給付」「遺族補償給付」等を受給するにも診断書は必要となります。
労災保険の障害補償給付の診断書
障害補償給付は、労災で怪我をして後遺障害が残った場合に、労災保険から支払われる給付です。
障害補償給付の申請をするには、業務災害の場合には障害補償給付等の支給請求書(様式第10号)、通勤災害の場合には障害給付等の支給請求書(様式第16号の7)を提出するとともに、主治医に「労働者災害補償保険診断書」という所定の書式の診断書(いわゆる労災における「後遺障害診断書」)を作成してもらい、労働基準監督署に提出する必要があります。
労基署は、「後遺障害診断書」に記載された傷病名、障害の部位及び障害の状態を基に、後遺障害等級を認定しますので、傷病名や症状を漏れなく記載してもらうようにしましょう。
特に関節が曲がらない場合には、関節の機能障害の有無の「有」に〇をしてもらい、労災で怪我をした障害がある関節と反対側の健康な関節の可動域を測定してもらって、裏面の「上下肢等関節角度測定表」に測定結果を記載してもらわなければなりません。
肩、肘、手首、股関節、膝、足首については、障害がある関節の可動域が、上下肢の健康な関節の可動域の4分の3以下であれば後遺障害等級12級、2分の1以下であれば後遺障害等級10級が認定される可能性があります。
このように、後遺障害診断書には書き方のルールがありますが、医師によっては理解が不十分なことがあり、そのために労災被害者が適切な後遺障害等級を獲得できないということが起きてしまいます。
そのようなことが起こらないよう、後遺障害が残りそうと考えた段階で、労災に強い弁護士に相談することをお勧めします。
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労災で大怪我をした場合、仕事に復帰できるのか、今後の生活はどうなるのか、後遺障害が残ったらどうすればよいのかといった不安が大きいこといます。
弁護士に依頼すれば、どのように対応すればよいかのアドバイスを受けたり、着手金0円で窓口を任せたりすることができますので、治療や仕事復帰に集中することが可能です。
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労災保険の傷病補償年金の診断書
傷病補償年金は、療養補償給付(療養給付)を受ける労働者の傷病が療養開始後1年6か月経過しても治らず、その傷病による障害の程度が傷病等級表に定める傷病等級に該当し、その状態が継続している場合に支給されます(厚生労働省徳島労働局HPの「傷病(補償)年金」)。
療養開始後1年6か月を経過しても傷病が治っていないときは、その後1か月以内に「傷病の状態等に関する届」(様式第16号の2)を所轄の労働基準監督署長に
提出しなければならないとされており、その際、傷病の名称、部位及び状態が記載された診断書を添付することとなります。
労災保険の介護補償給付の診断書
介護(補償)給付は、障害(補償)年金又は傷病(補償)年金の第1級の方すべてと2級の精神神経、胸腹部臓器の障害を有している方が現に介護を受けている場合
に支給されます。ただし、身体障害者療護施設、老人保健施設、特別養護老人ホーム、原子爆弾被爆者特別養護ホームに入所されている方には支給されません(厚生労働省徳島労働局HPの「介護(補償)給付」)。
介護補償給付の申請をするには、業務災害の場合には介護補償給付等の支給請求書(様式第16号の2の2)を提出するとともに、障害の部位及び状態並びに当該状態を有することに伴う日常生活の状態について記載された診断書を添付します。
労災保険の遺族補償給付・葬祭料の診断書
遺族(補償)給付は、業務または通勤が原因で亡くなった労働者の遺族に支給され、葬祭料(葬祭給付)は、葬祭を行った遺族などに対して支給されます。
これらの支給を申請するに際して必要となるのは、死亡診断書になります。
労災の診断書のもらい方は?書いてくれない場合にはどうすればよい?
労災の診断書のもらい方は、受診している病院に、厚生労働省のホームページからダウンロードするなどして所定の書式を持参し、主治医に作成を依頼してもらうこととなります。
労災の診断書は、依頼すれば書いてくれることが多いですが、主治医が後遺障害は認められないだろうと判断した場合などに書いてくれないということが起きます。
その場合には、「後遺障害の有無を判断するのは労働基準監督署なので、現在の症状をそのまま書いてください」とお願いするようにしましょう。
後遺障害が残っているにもかかわらず労災の診断書を書いてくれない場合、労災に強い弁護士に相談して改めてお願いすることで解決することもありますので、是非ご相談ください。
労災の診断書の費用は?自己負担になる?
労災の診断書の費用は、診断書の種類や医療機関によって異なりますが、4000円〜1万円のことが多いです。
労災保険は、診断書の費用のうち4000円までは支給しますが、それ以上は自己負担になります。
労災の診断書は会社に提出?
労災の診断書の提出先は、労働基準監督署になりますが、会社を通じて労災申請をする場合には会社に提出することもあります。
会社から労災申請とは別に診断書の提出を求められる場合もありますが、この場合の費用は労災保険は負担してくれませんので、会社負担か自己負担かを確認するようにしましょう。
労災の診断書の作成から労基署で後遺障害等級が認定されるまでの流れ
①医療機関の受診
労災で怪我をしたらすぐに病院を受診しましょう。
労災指定病院で治療を受ける場合、窓口で「労災保険を使って治療を受けたいこと」を伝えれば、自己負担なしで治療を受けることができます。
②労災申請
労災事故の発生を会社に報告し、労基署に労災申請をしてもらいます。
労基署が労災認定をすれば、療養補償給付や休業補償給付が支給されます。
③診断書の作成
労災で負った怪我が完治せず後遺症が残った場合、主治医に診断書を作成してもらって、労働基準監督署に障害補償給付を申請します。
④労働基準監督署の調査・面談
労働基準監督署は、労災被害者から提出された書類をもとに調査・面談を実施します。
⑤後遺障害等級の認定
労基署が後遺障害等級を認定した場合、障害補償給付が支給されます。
後遺障害等級は1~14級まであり、認定される等級によって、受け取れる年金や一時金の金額が大きく変わります。
具体的には、次の表のとおりです。
等級 | 障害補償年金
(給付基礎日額) |
障害特別年金
(算定基礎日額) |
障害特別支給金 |
1級 | 毎年313日分 | 毎年313日分 | 342万円 |
2級 | 毎年277日分 | 毎年277日分 | 320万円 |
3級 | 毎年245日分 | 毎年245日分 | 300万円 |
4級 | 毎年213日分 | 毎年213日分 | 264万円 |
5級 | 毎年184日分 | 毎年184日分 | 225万円 |
6級 | 毎年156日分 | 毎年156日分 | 192万円 |
7級 | 毎年131日分 | 毎年131日分 | 159万円 |
障害補償一時金
(給付基礎日額) |
障害特別一時金
(算定基礎日額) |
障害特別支給金 | |
8級 | 503日分(一度だけ) | 503日分(一度だけ) | 65万円 |
9級 | 391日分(一度だけ) | 391日分(一度だけ) | 50万円 |
10級 | 302日分(一度だけ) | 302日分(一度だけ) | 39万円 |
11級 | 223日分(一度だけ) | 223日分(一度だけ) | 29万円 |
12級 | 156日分(一度だけ) | 156日分(一度だけ) | 20万円 |
13級 | 101日分(一度だけ) | 101日分(一度だけ) | 14万円 |
14級 | 56日分(一度だけ) | 56日分(一度だけ) | 8万円 |
障害補償給付は、後遺障害1級から7級の場合には「給付基礎日額」の何日分の年金として毎年支給され、後遺障害8級から14級の場合には「給付基礎日額」の何日分の一時金として一度だけ支給されます。
「給付基礎日額」は、簡単にいえば「1日あたりの給料」のことです。
具体的には「労災発生前3ヶ月の給料の合計」を「労災発生前3ヶ月の日数」で割ると、給付基礎額1日分の金額になります。
例えば「月給30万円(3ヶ月で90万円)」「労災発生前の3ヶ月の日数が90日」の人だった場合、給付基礎日額は1万円になります。
同様に、障害特別年金は後遺障害1級から7級の場合のみ「算定基礎日額」の何日分の年金として毎年支給され、障害特別一時金は後遺障害8級から14級の場合のみ「算定基礎日額」の何日分の一時金として一度だけ支給されます。
「算定基礎日額」は「労災発生日前の1年間で得たボーナスの合計を365で割ったもの」であり、労災前の1年で73万円のボーナスを受け取った人の場合、「73万円÷365=2000円」となります。
このように等級が違うだけで金額が大きく変わるからこそ、1級も落とすことなく、症状にあった適切な等級認定を受ける必要があります。
労災の後遺障害診断書の作成は弁護士に無料相談を
これまで説明してきたとおり、労災の後遺障害診断書の内容次第で後遺障害等級が変わります。
そして、後遺障害等級次第で、労災保険から受けられる障害補償給付の金額にも影響します。
また、会社が労災の発生について責任を負っている場合、会社に対して慰謝料等を請求することができますが、その金額を計算する際にも後遺障害等級が関係してきます。
適切な後遺障害等級を獲得するには、後遺症を適切に証明している診断書が必要ですが、主治医は治療をして怪我を治すことに関心はあるものの、後遺症を証明することに必ずしも関心はありません。
弁護士に依頼することで、被災者の症状に合った等級に認定されるために必要な診断書を作成するためのアドバイスを受けることができるのです。
労災の診断書のまとめ
労災保険を利用することで、労災によって発生した様々な損害を補償することができます。
そして、労災保険から支払われる保険金にもいくつかの種類があり、必要に応じて、請求書だけでなく、診断書を作成・提出しなければならない場合があります。
例えば、「障害(補償)給付」をもらうには「後遺障害診断書」が必要で、「遺族(補償)給付」をもらうには「死亡診断書」が必要です。診断書は主治医に作成してもらいましょう。診断書の作成費用は、上限はあるものの、労災保険から支払われます。
各種請求に必要な請求書・診断書が用意できたら、労働基準監督署に提出しましょう。審査を通過できれば、保険金が支払われます。
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これまでご説明してきたとおり、労災は手続きが複雑であるため、労災で怪我をした本人やそのご家族だけで進めていくことには限界があります。
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このコンテンツの監修

弁護士法人法律事務所リンクス
代表弁護士 藤川 真之介
全国の労働災害の被害者の救済のため無料電話相談に取り組む。京都大学法学部卒業。2007年弁護士登録(日弁連登録番号35346)。京都弁護士会所属。2015年に法律事務所リンクスを設立し、2016年に弁護士法人法律事務所リンクス(日弁連届出番号1030)として法人化。現在、東京と京都にオフィスがある。