自転車事故の慰謝料や賠償金の平均はいくら?示談金の相場は?
自転車事故で大怪我したら高額の賠償になるが、
自動車事故よりも相手に支払わせるのは大変。
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自転車事故の被害者の人身の慰謝料
自転車事故の慰謝料は、打撲捻挫の場合は通院に1か月~6か月を要するので19万円~89万円、骨折等の場合は入院の期間や手術の有無によって116万円~250万円の幅があります。
これに加えて、治療費や休業補償、後遺障害の補償なども問題になります。
このページでは、自転車事故でもめるパターンごとに慰謝料のシミュレーションをしていきたいと思います。
自転車事故がもめる理由
自転車事故でもめるのは次の理由によります。
- 治療費や休業補償でもめる
- 自賠責の後遺障害等級認定が使えないのでもめる
- 過失割合の評価が難しいのでもめる
自転車事故の治療費・休業補償
自動車事故の場合には、加害者の保険会社が窓口になって、治療費・休業補償を支払ってくれることが多いです(これを示談代行サービスといいます。)。
これに対し、自転車保険の場合、加害者の加入している保険の種類によって、示談代行サービスが付帯しておらず、保険会社が窓口になってくれないことがあります。
自転車の保険には、自転車保険として単独で販売されているものと、自動車保険等に附帯している個人賠償責任保険があります。
個人賠償責任保険は、自動車保険のように保険会社が窓口になって治療費や休業補償を支払ってくれることが多いです。
これに対し、自転車保険として単独で販売されているものの中には、示談代行サービスがついておらず、保険会社が窓口になってくれないことがあります。
このような場合、通勤中や業務中の事故であれば労災保険を利用して治療費や休業補償の支払いを受けたり、それ以外の事故であれば健康保険を利用して治療費を支払うことになります。
自賠責の後遺障害等級認定が使えないのでもめる
自転車事故にあって後遺障害が残った場合、その後遺障害の賠償や慰謝料をどうすべきかが問題になります。
自動車事故であれば、自賠責保険の後遺障害等級認定を利用して、後遺障害等級を決め、これに応じた賠償を受けることが可能ですが、自転車には自賠責はありませんので使えません。
そこで、被害者の後遺障害等級をどのように評価すべきなのかでもめることになり、裁判による解決をしないといけないことがあります。
詳しくは、下記の事例をご覧ください。
【人工骨頭10級】自転車事故の被害者女性に後遺障害10級が認められ、1800万円を獲得した事例【自転車事故】
過失割合の評価が難しくてもめる
自転車は自動車やバイクとの関係では交通弱者なので過失割合が有利になることが多く、自転車同士では対等に扱われ、歩行者との関係では過失が割合が不利になることが多いです。
車と自転車の事故の過失割合
例えば、自転車が進路変更をして自動車と衝突した場合や自転車が一時停止を無視した場合でも、自転車の方が過失が低いと判断されることが多く、例えば下記のリンクスの解決事例でも一時停止を無視した自転車の過失割合は4割とされています。
交通事故入院の大腿骨骨折で後遺症12級認定&慰謝料1200万円獲得
自転車同士の事故の過失割合
これに対して、自転車同士の場合には、5対5を基本に、左側通行を守っていたかや、左方優先などを考慮して、過失割合を修正することが多いです。
自転車と歩行者の事故の過失割合
自転車と歩行者の事故の場合、原則として歩行者が保護され、特に歩道上の事故では歩行者の過失は0となる場合がほとんどです。
例えば、下記のリンクスの解決事例でも、被害者の過失は0ということで争われることもありませんでした。
【人工骨頭10級】自転車事故の被害者女性に後遺障害10級が認められ、1800万円を獲得した事例【自転車事故】
神戸で小学5年生が起こした自転車事故で親に9500万円の損害賠償責任が発生した事例とその後
自転車事故で重度の後遺障害が残った場合には介護が必要になる場合があり、有名な裁判例として神戸地裁平成25年7月4日判決がありますのでご紹介します。
小学5年生の運転する自転車と衝突して寝たきりになった被害者が、小学5年生の親権者である母親に対して、将来の介護費を含めて1億0500万円余の損害賠償を求めました。
この裁判では、歩行者である花子さん(62歳女性)が、自転車を運転していた次郎(小学5年生)の唯一の親権者である被告に対し、監督者責任(民法714条1項)に基づいて、損害賠償金の支払を求める等しました。
花子さんは、本件事故により、急性硬膜下血腫、脳挫傷、頭蓋骨骨折等の傷害を負いました。
裁判所は、本件の自転車事故の原因について、「次郎が、本件道路上を被告自転車で走行するに際し、自車の前方を注視して交通安全を図るべき自転車運転者としての基本的注意義務があるにもかかわらず、これを尽くさないまま、しかも相当程度勾配のある本件道路を速い速度で走行し、その結果、衝突直前に至るまで原告花子に気付かなかったことによって発生した」と認定して、次郎の過失を認めました。
他方で、花子さんの過失については、「原告花子においても、進路前方の安全に留意して歩行すべきであり、前方の確認がやや不十分であったものの、上記認定の原告花子らと次郎運転の被告自転車の大きな速度差、次郎の加害行為及び注意義務違反の内容・程度等に鑑みると、原告花子に過失相殺の対象としなければならない程の過失があったとは認め難い」として、認めませんでした。
その上で、次郎の親である被告の責任については、「次郎は、本件事故当時11歳の小学生であったから、未だ責任能力がなかったといえ、本件事故により原告花子に生じた損害については、次郎の唯一の親権者で、次郎と同居してその監護に当たり、監督義務を負っていた被告が、民法714条1項により賠償責任を負うものといえる。」としました。
花子さんには、意識障害(植物状態)、開眼するも意思疎通不可、四肢拘縮(四肢可動不可)等の後遺障害が残ってしまい、生涯常時介護の必要な後遺障害が残存したと認められ、将来の介護費を含め9500万円余りの損害が認められました。
このような場合、被告側が自転車保険に加入していなかったり、補償の限度額が不十分な場合には、花子さんは十分な補償を受けられないことになります。
この裁判の花子さんは、夫が人身傷害保険に加入していたため、約6000万円については補償を受けることができました。
このように、自転車事故はもめることが多いので、交通事故に詳しい弁護士への無料相談をお勧めしています。
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このコンテンツの監修
弁護士法人法律事務所リンクス
代表弁護士 藤川 真之介
交通事故の被害者の救済に取り組む。特に後遺障害等級の獲得に注力し、担当した裁判例が交通事故専門誌「自保ジャーナル」2048号等多数掲載。京都大学法学部卒業。2007年弁護士登録(日弁連登録番号35346)。京都弁護士会所属。2016年に交通事故被害者のための法律事務所として弁護士法人法律事務所リンクス(日弁連届出番号1030)創設。