交通事故で顔に傷跡の後遺症慰謝料は？後遺障害12級や女性の場合は？

交通事故で顔に傷跡が残ると後遺障害7級か9級か12級が認定される。

後遺障害12級が認められた男性が1090万円で示談した事例を紹介！

交通事故で顔に傷跡が残った場合の後遺障害等級

交通事故で顔に傷跡が残った場合、その内容と程度に応じて、後遺障害7級か9級か12級が認定されます。

このページでは、法律事務所リンクスの交通事故に強い弁護士、後遺障害12級が認められた男性が1090万円で示談した解決事例や後遺障害9級が認められた女児に逸失利益が認められなかったものの慰謝料が基準よりも200万円増額された解決事例をご紹介します。

後遺障害7級12号　外貌に著しい醜状を残すもの

「外貌」とは、頭部、顔面部、頸部のごとく、上肢及び下肢以外の日常露出する部分をいいます。

外貌における「著しい醜状を残すもの」とは、原則として、次のいずれかに該当する場合で、人目につく程度以上のものをいいます。

1. 頭部にあっては、てのひら大(指の部分は含まない。以下同じ。)以上の瘢痕又は頭蓋骨のてのひら大以上の欠損
2. 顔面部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕又は10円銅貨大以上の組織陥没
3. 頸部にあっては、てのひら大以上の瘢痕

後遺障害9級16号　外貌に相当程度の醜状を残すもの

原則として、顔面部の長さ5センチメートル以上の「線状痕」で、人目につく程度以上のものをいいます。

後遺障害12級14号　外貌に醜状を残すもの

外貌における単なる「醜状」とは、原則として、次のいずれかに該当する場合で、人目につく程度以上のものをいう。

1. 頭部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕又は頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損
2. 顔面部にあっては、10円銅貨大以上の瘢痕又は長さ3センチメートル以上の線状痕
3. 頸部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕

交通事故で顔に傷跡が残った場合の後遺症認定のポイント

交通事故で顔に傷跡が残った場合に後遺症認定を受ける際のポイントは次の3つです。

1. 事故後6か月通院して後遺障害診断書を作成する
2. 後遺障害診断書に漏れなく傷跡を記載してもらう
3. 自賠責損害調査事務所で面接を受けて正確に測定してもらう

①　事故後6か月通院して後遺障害診断書を作成する

交通事故で顔に傷跡が残っても、時間が経てば消失する可能性がありますので、6か月を経過してから後遺症認定をすることになっています。

②　後遺障害診断書に顔の傷跡を漏れなく記載してもらう

後遺症認定は後遺障害診断書に記載されている内容を基礎として進められますので、顔の傷跡を漏れなく記載してもらう必要があります。

③　自賠責損害調査事務所で面接を受けて顔の傷跡を正確に測定してもらう

自賠責損害調査事務所は、顔の傷跡については、被害者が希望すれば面接調査を実施し、後遺障害等級認定基準に従って、傷跡を測定します。

次に述べるとおり、後遺障害等級によって慰謝料等の金額が大きく変わりますので、ミリ単位の測定の間違いで大きな損をしてしまうことがあります。

そのようなことにならないよう、自賠責損害調査事務所で面接を受ける際には、顔の傷跡を正確に測定してもらうようにしましょう。

また、その際には、次のような後遺症認定基準があることに注意し、対策をとる必要があります【参照：厚生労働省「外貌の醜状障害に関する障害等級認定基準について」】。

• 障害補償の対象となる外貌の醜状とは、人目につく程度以上のものでなければならないから、瘢痕、線状痕及び組織陥没であって眉毛、頭髪等にかくれる部分については、醜状として取り扱わないこと。(例　眉毛の走行に一致して3.5センチメートルの縫合創痕があり、そのうち1.5センチメートルが眉毛にかくれている場合は、顔面に残った線状痕は2センチメートルとなるので、外貌の醜状には該当しない。)
• 2個以上の瘢痕又は線状痕が相隣接し、又は相まって1個の瘢痕又は線状痕と同程度以上の醜状を呈する場合は、それらの面積、長さ等を合算して等級を認定すること。

交通事故で顔に傷跡が残った場合の後遺障害慰謝料の相場と逸失利益の計算

顔の傷跡で後遺障害7級12号が認定された場合の後遺障害慰謝料の相場と逸失利益の計算

後遺障害7級12号の自賠責基準の後遺障害慰謝料の相場と逸失利益の計算

後遺障害7級12号が認定された場合の自賠責基準の後遺障害慰謝料の相場は409万円です。

逸失利益は642万円が上限であり、後遺障害慰謝料と逸失利益を合計すると1051万円となります。

後遺障害7級12号の弁護士基準の後遺障害慰謝料の相場と逸失利益の計算

後遺障害7級12号が認定された場合の弁護士基準の後遺障害慰謝料の相場は1000万円～1300万円です。

逸失利益が認められるかどうかは、傷跡の形状が目立つかや仕事に影響するかによって変わりますが、仕事への影響が認められる場合でも10～20％程度とされる可能性が高いです。

顔の傷跡で後遺障害9級16号が認定された場合の後遺障害慰謝料の相場と逸失利益の計算

後遺障害9級16号の自賠責基準の後遺障害慰謝料の相場と逸失利益の計算

後遺障害9級16号が認定された場合の自賠責基準の後遺障害慰謝料の相場は245万円です。

逸失利益は371万円が上限であり、後遺障害慰謝料と逸失利益を合計すると616万円となります。

後遺障害9級16号の弁護士基準の後遺障害慰謝料の相場と逸失利益の計算

後遺障害9級16号が認定された場合の弁護士基準の後遺障害慰謝料の相場は690万円～830万円です。

逸失利益が認められるかどうかは、傷跡の形状が目立つかや仕事に影響するかによって変わりますが、仕事への影響が認められる場合でも10～20％程度とされる可能性が高いです。

顔の傷跡で後遺障害12級14号が認定された場合の後遺障害慰謝料の相場と逸失利益の計算

後遺障害12級14号の自賠責基準の後遺障害慰謝料の相場と逸失利益の計算

後遺障害12級14号が認定された場合の自賠責基準の後遺障害慰謝料の相場は93万円です。

逸失利益は131万円が上限であり、後遺障害慰謝料と逸失利益を合計すると224万円となります。

後遺障害12級14号の弁護士基準の後遺障害慰謝料の相場と逸失利益の計算

後遺障害12級14号が認定された場合の弁護士基準の後遺障害慰謝料の相場は290万円～400万円です。

逸失利益が認められるかどうかは、傷跡の形状が目立つかや仕事に影響するかによって変わりますが、仕事への影響が認められる場合でも5～10％程度とされる可能性が高いです。

顔の傷跡で後遺障害12級14号が認定された男性が逸失利益を含め1090万円の示談金を受け取った事例

事故の内容

被害者男性は自転車で走行中に車に衝突されて顔面をぶつけ頬に瘢痕が残りました。

無料電話相談のきっかけ

被害者男性は、子供と接する職業に従事していましたが、子供は大人と違って頬の瘢痕を率直に指摘するため、日々精神的に傷ついていました。そこで、せめて適切な補償を受けたいと考え、法律事務所リンクスの弁護士に無料電話相談を利用されました。

後遺障害12級14号の認定

被害者男性は、事故6か月経過後に後遺障害診断書を作成してもらい、自賠責損害調査事務所で面接調査を受けた結果、頬の瘢痕の大きさが10円銅貨大であることが認められ、「外貌に醜状を残すもの」として後遺障害12級14号が認定されました。その際、頬部の痛みについても、後遺症と認定されました。

逸失利益の認定を求めて

法律事務所リンクスの弁護士は、被害者男性が子供と接する職業に従事していたことから仕事への影響も大きいと考え、保険会社に次のような内容の申し入れをしました。

• 瘢痕が赤く腫れており目立ちやすい
• 子供と接する職業で顔の傷跡について質問されたり心配されたりして指導の妨げになっている
• 瘢痕には痛みもあり集中力を欠くことがある

示談の内容

その結果、一定期間の逸失利益も認められ、後遺障害慰謝料290万円も含めて、1090万円の示談金を受け取ることができました。

女性の顔の傷跡が小さいとして逸失利益は認められなかったが慰謝料が基準より200万円増額され870万円となった事例

事故の内容

被害者の女児は、自転車で交差点に進入した際に、車両に衝突して顔をぶつけ、額に５ｃｍを超える線状痕が残り、後遺障害9級が認定されました。

無料相談のきっかけ

女児の家族は、保険会社から、後遺障害9級なので616万円は出ると言われ、自賠責基準しか出ないのではないかと考え、法律事務所リンクスの弁護士に無料相談されました。

民事裁判へ

女児の線状痕はあまり目立つものではなく、髪の毛で隠すことができる位置にあったので、逸失利益が認められるのは難しい事案でしたが、過失割合の争いもあったことから、逸失利益と慰謝料の増額を求め、裁判を起こすことにしました。

法律事務所リンクスの弁護士は、裁判に当たって、主治医から「髪の毛をアップにする髪型に出来ないという時点で、女の子の精神衛生上もしくは発達上問題になる可能性はある。」「性格形成に及ぼす影響はある」「髪の毛をアップにする仕事や成人式などの時に気になる」といった意見書をもらって、証拠として提出しました。

裁判の結果

裁判所は、「髪型や化粧などで目立たないようにすることは十分可能である」として逸失利益が認めませんでしたが、「線状痕の部位及び程度からすれば、髪型等で目立たなくできるとしても、女性として髪型の制限を受けること自体が精神的負担となりうる。」「今後成長期を迎えていく中で、線状痕の存在を気にして対人関係や対外的な活動に消極的になり、そのことが原告の性格形成に影響を及ぼす可能性が否定できず、そのことは、上記（６）のとおり、原告の主治医も指摘している。」として、後遺障害慰謝料を9級の基準から200万円増額した870万円としました。

交通事故で顔に傷跡が残った被害者のための無料電話相談実施中

法律事務所リンクスの無料電話相談では、交通事故に強い弁護士が、交通事故で顔の傷が残った被害者のための電話での無料相談を実施しています。

弁護士に依頼すれば、どのように対応すればよいかのアドバイスを受けたり、窓口を任せたりすることができますので、治療や仕事復帰に集中することが可能です。

交通事故で顔の傷が残ってお困りの被害者の方は、次のバナーからお気軽にお問い合わせください。

このコンテンツの監修

弁護士法人法律事務所リンクス
代表弁護士　藤川 真之介

交通事故の被害者の救済に取り組む。特に後遺障害等級の獲得に注力し、担当した裁判例が交通事故専門誌「自保ジャーナル」2048号等多数掲載。京都大学法学部卒業。2007年弁護士登録（日弁連登録番号35346）。京都弁護士会所属。2016年に交通事故被害者のための法律事務所として弁護士法人法律事務所リンクス（日弁連届出番号1030）創設。

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