顎骨折の後遺症は?上顎骨下顎骨骨折は全治何ヶ月?痛みで食事ができない?
顎骨折の主な後遺障害は神経症状・そしゃく機能障害・言語障害。
自転車事故による顎骨折で3700万円余りの賠償金を獲得した事例もご紹介。
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顎骨折の後遺症は?上顎骨骨折と下顎骨骨折の後遺障害等級はどうなる?
顎骨折(上顎骨骨折・下顎骨骨折)の後遺症は、骨折に伴う顔面の痛みやしびれのほか、そしゃく機能や言語機能に障害が生じることがあります。
骨折に伴って顔面の痛みやしびれが残った場合の後遺障害等級は、12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」か14級9号「局部に神経症状を残すもの」のいずれかになります。
これに対し、そしゃく機能や言語機能に後遺症が残った場合に認められる主な後遺障害等級は、両方に下記の後遺障害が残った場合に後遺障害9級6号、片方に下記の後遺障害が残った場合に後遺障害10級2号となります。
機能 | 後遺障害の内容 |
そしゃく機能
| 固形食物(たくあん、ラッキョウ、ピーナッツ等の一定の固さの食物)の中にそしゃくできないものがあることまたはそしゃくが十分にできないものがあり、不正咬合、そしゃく関与筋群の異常、顎関節の障害、開口障害、歯牙障害(補綴ができない場合等)の原因が医学的に確認できる。 |
言語機能 | 下記の4種の語音のうち、1種の発音が不能である。 口唇音:ま行音・ぱ行音・ば行音・わ行音・ふ |
ただ、顎骨折でそしゃく機能に障害が残った場合、仕事への影響が大きくないとして後遺障害逸失利益を低く評価されることがありますし、後遺障害認定基準は満たさないという場合があります。
下顎骨骨折による咬合不整が後遺障害10級とはならなかったにもかかわらず、「食事をする上で支障があるというものにとどまらず、顧客に接客する上で必要な会話をしたり、同僚等と業務上必要な連絡をしたりする上で支障が生じている」などとして、後遺障害10級相当の逸失利益を認めた事例として、「下顎骨骨折による咬合不整、活舌低下、外貌醜状で27%の労働能力喪失率が認められた事例(さいたま地裁令和5年10月24日判決)」をご紹介します。
なお、顎骨折に伴って、歯を欠損した場合には、歯の後遺障害が認められることになりますが、歯の後遺障害について詳しくは、「交通事故で歯一本の慰謝料は?歯が折れたら保険金は?歯科欠損補綴の後遺障害は?」をご覧ください。
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上顎骨下顎骨骨折の治療法は?全治何ヶ月?
顎骨折の治療法は、手術後に上下の歯を固定して咬み合わせの改善を図りますが、完全に咬み合わせを改善するのに歯科治療を必要とすることもあります。
手術後1か月で骨折部は癒合することが多いですが、咬み合わせの改善に時間を要する場合がありますし、症状固定して後遺障害診断書を作成するのは、早くとも事故から6ヶ月後になります。
下顎骨骨折による咬合不整、活舌低下、外貌醜状で27%の労働能力喪失率が認められた事例(さいたま地裁令和5年10月24日判決)
事案の概要
被害者は、自転車に乗って交差点を直進中に、対向車線から右折進行してきた加害車両と衝突する交通事故に遭い、下顎骨開放骨折等の傷害を負い、次の後遺症が残りました。
- 前歯6歯の喪失ないし著しい欠損により義歯の使用を強いられた
- こう合不整として、前歯のかみ合わせ不良、開口障害、そしゃく障害等
- 右下唇知覚鈍麻、オトガイ神経感覚異常
- 舌小体が短くなったため、活舌が著しく悪くなり、他者と口頭でコミュニケーションをとる上で支障が生じた
- 顎に2ヶ所の線状痕が残り、うち1つは右上下唇及びその上下にわたる長さ6ないし7センチメートルの外貌上目立つものであった
自賠責保険による後遺障害等級の認定
自賠責保険は、上記の後遺症のうち、①の前歯6歯の喪失ないし著しい欠損により義歯の使用を強いられたについて後遺障害13級5号「5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」、③の右下唇知覚鈍麻、オトガイ神経感覚異常について後遺障害12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」、⑤の線状痕について後遺障害等級9級16号「外貌に相当程度の醜状を残すもの」に該当するとして、後遺障害併合8級と判断しましたが、②のそしゃく障害や④の言語機能障害については、後遺障害等級を認めませんでした。
このような場合、多くの裁判官は、①の前歯6歯の喪失ないし著しい欠損により義歯の使用を強いられた、⑤の線状痕については、労働に影響しないとして、③の右下唇知覚鈍麻、オトガイ神経感覚異常についてのみ、後遺障害12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」に対応する14%の労働能力喪失率をしか認めません。
しかし、本件の担当裁判官である田邉実判事は、次のとおり、後遺障害を総合的に判断することで、27%の労働能力喪失率を認め、加害者に被害者への3700万円余りの損害賠償金の支払を命じました。
裁判所の判断
①の後遺障害のうち前歯の欠損は、下顎骨の骨折の際に下側の前歯の相当部分に生じるなどしたもので、義歯で矯正しても、肉のようなある程度の硬さのある食物は前歯でかみ切ることができず、食事等の日常生活において大きな支障が生じているし、③の右下唇知覚鈍麻等も、唇付近に終始違和感があるほかに、口から意図せずによだれが垂れてしまったり、口を大きく開ける動作が困難になったりしたものであった。
そうすると、上記の後遺障害は、食事をする上で支障があるというものにとどまらず、顧客に接客する上で必要な会話をしたり、同僚等と業務上必要な連絡をしたりする上で支障が生じているほか、私生活面でも余分な労力や時間をかけざるを得なくなって、被害者の労働の能率を低下させているし、また活舌が悪くなったことや、後記のとおりの外貌上の変化がもたらす心理的な影響によって、被害者の活動が消極的になり、被害者の労働能力を低下させている側面があることを否定できない。
また、前記⑤の右上下唇にまたがる線状痕は、6ないし7センチメートルの長さに達するもので、顔の正面下部に位置し、人目につきやすい箇所にあるし、被害者の前歯の欠損は相当な範囲に及んでいるから、本件交通事故当時高校生であった被害者において、他者の視線を気にして、活動が消極的になり、就労意欲を低下させる側面があったことを否定できない。
前記のとおりの後遺障害の内容、程度に鑑みると、被害者が現在及び将来就業する職業との関係で、外貌の醜状が物理的ないし職業の特性上労働能力を直接制約するものとはならない可能性を考慮しても、被害者の労働能力喪失率は、すべての後遺障害による影響を勘案し、27%を下らないものと認めるのが相当である。
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このコンテンツの監修
弁護士法人法律事務所リンクス
代表弁護士 藤川 真之介
交通事故の被害者の救済に取り組む。特に後遺障害等級の獲得に注力し、担当した裁判例が交通事故専門誌「自保ジャーナル」2048号等多数掲載。京都大学法学部卒業。2007年弁護士登録(日弁連登録番号35346)。京都弁護士会所属。2016年に交通事故被害者のための法律事務所として弁護士法人法律事務所リンクス(日弁連届出番号1030)創設。