交通事故の過失割合で慰謝料は?治療費が引かれる?自賠責は減額なし?
過失割合は両者の話し合いで決まる。
過失割合が慰謝料に影響を与える。
交通事故で被害者側に過失割合がある場合、慰謝料が減額されるだけでなく、慰謝料から被害者の過失割合分の治療費も引かれることになります。
というのは、保険会社が、被害者の過失割合分の治療費も病院に一括して支払っているので、その分を慰謝料から引かないといけないからです。
このページでは、法律事務所リンクスの交通事故に強い弁護士が「交通事故における過失割合と慰謝料や治療費の関係」、「過失割合の計算方法」、「自賠責の過失割合の計算」について説明します。
交通事故の慰謝料の相場については、「交通事故の慰謝料相場!被害者はいくらもらえる?」をご覧ください。
交通事故の慰謝料を計算機で過失割合を掛けて計算したい方は「交通事故慰謝料計算機!自賠責も自動計算できる便利ツール!」をご覧ください。
交通事故の治療費の支払方法や過失割合との関係については、「交通事故の治療費|誰が病院代を支払う?自賠責保険?被害者の立替はいくら?」をご覧ください。
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交通事故の慰謝料と過失割合
冒頭でも説明したとおり、交通事故の慰謝料はもちろんのこと、その他の損害賠償金も過失割合によって減額されます。
その他の損害賠償金には、次のようなものがあります。
交通事故に遭うことで、被害者は様々な損害を受けます。それらを償うために支払われるのが損害賠償金であり、慰謝料はその中の一部です。
例えば、交通事故で被害者が受けた損害の総額が100万円だったとします。過失割合が「加害者75:被害者25」だった場合、被害者の過失分である25%が損害賠償金から差し引かれ、被害者が受け取る損害賠償金は75万円になります。
このような場合、25%の過失相殺がされたと表現します。
交通事故の慰謝料から治療費が引かれることもある
被害者に過失割合がある場合、被害者の治療費も過失相殺されます。
例えば、交通事故で被害者が受けた損害の総額が100万円、過失割合が「加害者75:被害者25」だったとします。
そうすると、仮に治療費が20万円、休業補償が20万円、慰謝料が60万円だったとすると、治療費も休業損害も25%の過失相殺がされて、治療費は15万円、休業補償が15万円しか受け取れないはずです。
もっとも、被害者の治療費については、加害者の保険会社が病院に直接全額を支払うことが多く、病院は治療費の一部しか受け取れないと困るので、保険会社は病院に治療費の全額に当たる20万円を支払います。
このような場合、治療費として余分に支払った5万円は、慰謝料から引かれることになります。
また、休業補償についても、保険会社は先に全額に当たる20万円を支払うことがあります。交通事故で仕事がまったくできない場合、満額の休業補償を支払わなければ生活できないからです。
この場合には、休業補償として余分に支払った5万円についても、慰謝料から差し引くことになります。
そして、慰謝料自体も60万円から自分の過失割合である25%を差し引いた45万円しか受け取れませんので、最終的に受け取ることができる慰謝料は、
45万円-(5万円+5万円)=35万円
ということになります。
自賠責の慰謝料と過失割合~重過失減額が起きる場合
これに対し、自賠責の慰謝料は、被害者の過失が7割未満であれば減額相殺されません。
したがって、例えば、交通事故で被害者が受けた損害の総額が100万円、過失割合が「加害者75:被害者25」だった場合には、100万円全額を受け取ることができます。
そうすると、自賠責の方が得と思われるかもしれませんが、自賠責基準の慰謝料は通常の慰謝料よりも安いので、そうなるとは限りません。
また、過失割合の影響で自賠責の慰謝料の方が高くなる場合、保険会社は自賠責の慰謝料相当額を支払うのが原則ですので、被害者が自賠責ではなく保険会社から慰謝料を受け取って損をするということはまずありません。
なお、被害者の過失が7割以上となる場合、自賠責保険からの支払額は以下のように減額されます。
過失割合 | 普通の事故 | 後遺障害・死亡事故 |
7割未満 | 減額なし | 減額なし |
7割以上8割未満 | 2割減額 | 2割減額 |
8割以上9割未満 | 2割減額 | 3割減額 |
9割以上10割未満 | 2割減額 | 5割減額 |
交通事故の慰謝料で不当な過失相殺をされないためにすべきこと
このように過失割合は慰謝料に大きく影響し、不当な過失相殺をされると損をしてしまうことになります。では、不当な過失相殺をされないためにはどうすべきでしょうか。
- 過失割合の基本的な相場を知る
- 物損の過失割合で妥協しない
- 交通事故に強い弁護士に調査を依頼する
過失割合の基本的な相場を知る
過失割合はお互いの話し合いで決めることになりますが、話し合いだからといって根拠のない主張をしたり、言いがかりに近いような主張をしたりしても、通用しません。
なぜならば、過失割合には基本的な相場が存在するからです。具体的には、過去の裁判の結果の連なりや、過失割合の基準を示した文献(別冊判例タイムズ)などを参考にします。
事故時の状況を記録した実況見分調書などを参考に、おおよその過失割合の相場を認識した上で話し合いを行うことになります。
被害者目線の場合、例えば「加害者80:被害者20」が相場の事故が起こったとして、「加害者にスピード違反があったため、加害者85:被害者15が妥当である」と主張するようなイメージです。
物損の過失割合で妥協しない
保険会社は、被害者が物損の過失割合で妥協すると、人身の示談の際にもその過失割合を持ち出してきます。
もちろん、人身の示談を拘束するものではありませんが、示談交渉の中で不利な影響を及ぼすことになりかねません。
お互いに妥当だと思う過失割合を主張し、納得がいかなければ反論をしたり、弁護士に交渉を依頼したりする必要があります。
交通事故に強い弁護士に過失割合の調査を依頼する
過失割合で納得が行かない場合には、弁護士に示談交渉を依頼するのがおすすめです。
弁護士は、交通事故における過失割合の相場や、過去の裁判の結果などを熟知しています。
相手の任意保険会社の主張がおかしいと思えば、法的根拠を交えて反論することができます。
また、弁護士は、示談が進まなければ裁判等の手段を取ることもできます。
強気な姿勢で交渉に望めますので、相手の保険会社に対して「これ以上反論せず、相手(弁護士)の主張を受け入れたほうがいい」という判断をさせやすくなります。
【関連:交通事故を弁護士に依頼するデメリットは?慰謝料や示談で損する?】
まとめ
過失割合と慰謝料の関係について説明しました。結論、過失割合は慰謝料に影響します。
例えば示談交渉の際、被害者に過失が3割ある場合、支払われる慰謝料も3割減額(過失相殺)します。正確には、減額されるのは慰謝料ではなく、損害賠償金です。
被害者の損害を償うために支払われるお金のことを損害賠償金と呼び、慰謝料はその中に含まれています。
被害者の損害が120万円以下の場合、加害者側の自賠責保険から損害賠償金が支払われますが、その際、被害者の過失が7割を超えるまでは過失相殺は行われません。
それは、自賠責保険の目的が「交通事故の被害者に最低限の補償をするため」であり、「事故の責任はどちらにどのくらいあるか」は重要視されていないためです。
過失割合自体は、相手の任意保険会社と交渉で決めるのが一般的です。過失割合や慰謝料に関して気になることや、納得できないことがあった場合には、弁護士に相談しましょう。
法律事務所リンクスの弁護士が無料電話相談で分かりやすく説明いたします。
このコンテンツの監修
弁護士法人法律事務所リンクス
代表弁護士 藤川 真之介
交通事故の被害者の救済に取り組む。特に後遺障害等級の獲得に注力し、担当した裁判例が交通事故専門誌「自保ジャーナル」2048号等多数掲載。京都大学法学部卒業。2007年弁護士登録(日弁連登録番号35346)。京都弁護士会所属。2016年に交通事故被害者のための法律事務所として弁護士法人法律事務所リンクス(日弁連届出番号1030)創設。