【高次脳機能障害2級】自賠責・労災の基準は?障害者手帳や障害年金は?
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高次脳機能障害2級~自賠責・労災・障害者手帳・障害年金の認定基準の違い
高次脳機能障害が自賠責保険で後遺障害2級として認められる基準は、「神経系統の機能又は障害に著しい障害を残し 、 随時介護を要するもの」です。
具体的には、「著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって 、1人で外出することができず 、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄 、食事などの活動を行うことができても 、 生命維持に必要な身辺動作に 、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの」とされています。
交通事故や労働災害で高次脳機能障害となった場合に、後遺障害2級に相当する後遺障害慰謝料・逸失利益・介護費用の補償を受けるには、原則として自賠責保険や労災保険で後遺障害2級を獲得しなければなりません。
障害者手帳や障害年金の2級は、自賠責や労災の後遺障害2級とは異なりますので、それぞれの認定基準を理解しておく必要があります。
特に、障害者手帳や障害年金で2級が認められたとしても、自賠責や労災で2級が認められるとは限りませんので、注意してください。
このページでは、法律事務所リンクスの高次脳機能障害に詳しい弁護士が、高次脳機能障害が自賠責・労災・障害者手帳・障害年金で2級が認められる基準や自賠責で後遺障害2級を獲得するポイント、リンクスの弁護士が自賠責保険の後遺障害等級を3級から2級に上げた解決事例をご紹介します。
後遺障害2級の場合の後遺障害慰謝料・逸失利益・介護費用の計算について詳しくお知りになりたい方は、「後遺障害2級の慰謝料の金額は?慰謝料・逸失利益・介護費用・労災の年金を解説」をご覧ください。
高次脳機能障害の自賠責保険の後遺障害2級の認定基準
高次脳機能障害が自賠責保険で後遺障害2級として認められる基準は、「神経系統の機能又は障害に著しい障害を残し 、 随時介護を要するもの」です。
具体的には、「著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって 、1人で外出することができず 、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄 、食事などの活動を行うことができても 、 生命維持に必要な身辺動作に 、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの」とされています。
これだけではよく分からないと思いますので、後で高次脳機能障害で自賠責の後遺障害2級を獲得するポイントを説明しますが、自賠責の基準は次に説明する労災の基準に倣って設けられていますので、次の労災の基準も参考にしてください。
高次脳機能障害の初期対応・病院の選び方について約3分の動画で知りたい方はコチラ
高次脳機能障害の労働災害の後遺障害2級の認定基準
高次脳機能障害が労災で後遺障害2級として認められるには、「高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、随時介護を要するもの」です。
その具体例として、「重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に随時介護を要するもの」か「高次脳機能障害による痴ほう、情意の障害、幻覚、妄想、頻回の発作性意識障害等のために随時他人による監視を必要とするもの」か「重篤な高次脳機能障害のため自宅内の日常生活動作は一応できるが、一人で外出することなどが困難であり、外出の際には他人の介護を必要とするため、随時 他人の介護を必要とするもの」が挙げられています。
高次脳機能障害の障害者手帳2級の認定基準
高次脳機能障害が障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)の2級として認められるには、「精神障害の状態が、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものである。この日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は困難な程度のものである。」とされています。
具体的には、「例えば、付き添われなくても自ら外出できるものの、ストレスがかかる状況が生じた場合に対処することが困難である。医療機関等に行く等の習慣化された外出はできる。また、デイケア、障害者自立支援法に基づく自立訓練(生活訓練)、就労移行支援事業や就労継続支援事業等を利用することができる。食事をバランス良く用意する等の家事をこなすために、助言や援助を必要とする。清潔保持が自発的かつ適切にはできない。社会的な対人交流は乏しいが引きこもりは顕著ではない。自発的な行動に困難がある。日常生活の中での発言が適切にできないことがある。行動のテンポが他の人と隔たってしまうことがある。ストレスが大きいと病状の再燃や悪化を来しやすい。金銭管理ができない場合がある。社会生活の中でその場に適さない行動をとってしまうことがある。」とのことです。
高次脳機能障害の障害年金2級の認定基準
高次脳機能障害が障害年金の2級として認められるには、「労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」「労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの」とされており、具体的には、「認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの」となります。
高次脳機能障害で自賠責の後遺障害2級を獲得するためのポイント
自賠責でも労災でも「随時の介護を要する」とされており、3級以下が介護を要しない等級であるため、介護の必要性が認められるかどうかが2級と3級の分かれ道になります。
高次脳機能障害と身体の機能障害を総合的に評価するため、一方の障害が重くなくとも他方の障害が重くて介護の必要があれば、2級が認められることがあります。
特に、記憶障害や作業遂行能力等の高次脳機能障害が軽度でも、自分一人では立てないなど身体機能の障害が重い場合には、介護の必要性が分かりやすいため、2級が認められやすい傾向にあります。
日弁連交通事故相談センター発行の「交通事故損害額算定基準」(通称「青本」)では、身体機能上、一人で日常生活動作が可能で、介護の必要度がそれほど高くないような印象を受けても、実態は声掛けが必要という場合でも2級が認められうる旨記載されています。
次に紹介するリンクスの弁護士が実際に担当した事例は、後遺障害3級と2級の限界事例だと思われます。
高次脳機能障害の後遺障害等級を3級から2級に上げた事例
リンクスの依頼者の方で、1人で動くことはできるが、日常生活は妻に頼りっきりで、1人での外出は困難な高齢男性がいました。
リンクスの弁護士が自賠責に後遺障害等級の申請をしたところ後遺障害3級となりましたが、後遺障害2級ではないかと考え、自賠責保険・共済紛争処理機構(被害者と自賠責保険の間で後遺障害等級に争いがある場合に斡旋してくれる機関)に申請をしました。
その際、リンクスの弁護士は、労災の後遺障害2級の場合に次のような基準があることを指摘しました。
- (b) 高次脳機能障害による高度の認知症や情意の障害、幻覚、妄想、頻回の発作性意識障害のため随時他人による監視を必要とするもの
- (c) 重篤な高次脳機能障害のため自宅内の日常生活動作は一応できるが、1人で外出することなどが困難であり、外出の際には他人の介護を必要とするため、随時他人の介護を必要とするもの
その結果、後遺障害2級の認定を受けることができました。
リンクスの弁護士の経験からすれば、2級が認められた被害者の方の場合、主に高次脳機能(精神機能)の異常が大きい方、身体機能にもある程度の支障が出ている方、身体機能の方の異常が大きい方など多様性があるという印象です。
普通に歩行できる方でも、徘徊をしたり、他人とのコミュニケーションに著しい支障が生じるほどの人格変化が生じるなど、日常生活動作について監視に近い見守りが必要という場合には、2級が認定されています。
このような場合、医師による評価に加えて、ご家族によるご本人の日常生活状況の評価が重要な意味を帯びます。
ご本人に対する遠慮からか、できないことをできるかのように記載してしまうご家族の方がいらっしゃいますが、実態に即した厳しい評価をしなければ、適正な等級認定を受けられませんので、ご注意ください。
また、医師は、ご家族のようにご本人の日常生活動作を見ているわけではありません。医師が適正な評価をできるようにするためには、十分な情報を提供する必要がありますが、医師への遠慮から不十分な情報提供になりがちです。
適正な後遺障害等級の認定を受けなければ、補償の額に数千万円の差が出る可能性がありますので、高次脳機能障害に詳しい弁護士のサポートを受ける必要があります。
高次脳機能障害の後遺障害診断書の作成の仕方について約5分の動画で知りたい方はコチラ
高次脳機能障害に詳しい弁護士への無料相談が不可欠
このように、後遺障害2級の証明は簡単ではありませんし、仮に2級の認定を受けたとしても、保険会社は「このような重篤な後遺障害の場合には余命が短くなるので、平均余命までの介護費は認められない」だとか「障害者支援や介護保険を利用することで介護費の自己負担は少なくなる」だとか「職業付添人による介護の必要性は認められない」だとかの理由をつけて、できる限り介護費を減らそうとします。
適正な後遺障害等級の認定を受け、きちんとした補償を受け取るには、交通事故被害に強い弁護士への無料相談が不可欠です。遠慮なくリンクスの無料相談をご利用ください。
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このコンテンツの監修
弁護士法人法律事務所リンクス
代表弁護士 藤川 真之介
交通事故の被害者の救済に取り組む。特に後遺障害等級の獲得に注力し、担当した裁判例が交通事故専門誌「自保ジャーナル」2048号等多数掲載。京都大学法学部卒業。2007年弁護士登録(日弁連登録番号35346)。京都弁護士会所属。2016年に交通事故被害者のための法律事務所として弁護士法人法律事務所リンクス(日弁連届出番号1030)創設。