交通事故で足首骨折の痛みしびれで後遺症9級認定!歩けるまでどのくらい?
バイク事故で右足首等を骨折した被害者が足首の可動域制限で10級、右足全体の痛み等が12級の認定を受け併合9級を獲得した事例
被害者男性(19歳学生)は、自動二輪で走行中、四輪車に衝突される交通事故で、右足の関節内骨折、右下肢の後脛骨筋腱損傷の怪我を負い、これらに伴って足首の可動域制限、足関節から足指までの痛みや知覚過敏といった症状が残りました。
被害者男性の父は、医師から非常に難しい非典型的な症例であることを聞き、被害者男性の症状が後遺障害の基準を満たし等級認定が受けられるのか不安になり、依頼されることにしました。
足首の骨折による可動域制限の後遺障害等級認定
リンクスの弁護士は、足首の骨折後の可動域制限については10級の可能性があると考えました。
関節の可動域制限で適切な後遺障害等級を認めてもらうには、日本整形外科学会等が制定した測定法によりきちんと測定してもらわなければなりませんが、お医者様の中には適切な測定法で測定せずに、誤った可動域の数値が出てしまうことがあります。
リンクスの弁護士は、被害者男性が10級を獲得できるよう、医師に適切な測定法による可動域測定を依頼しました。
足首骨折後の痛みしびれの後遺症認定
足全体の痛みやしびれ知覚過敏については神経の損傷によるものである可能性が高いことから、筋電図検査を受けてもらうとともに、筋委縮の有無の確認することで、神経の損傷を裏付けることにしました。
これらの検査は、治療に直接必要でないことから医師に頼まなければ実施されませんが、後遺障害を証明するため、医師にお願いをすることにしました。
その結果、足首の可動域制限で10級、足の神経損傷で12級、合わせて併合9級が認定を受けることができました。
その後、リンクスの弁護士が保険会社との間で示談交渉を重ね、被害者男性は4120万円余の示談金を受け取ることができました。
足首を骨折したら歩けるまでどのくらい?休業補償は?
足首を骨折して歩けないと通勤したり働いたりすることができませんので、休業補償を支払ってもらうことになります。では、歩けるまでどのくらいかかるのでしょうか。
最終的には主治医との相談になるのですが、骨癒合したタイミングが1つの目安になるようです。
もっとも、骨癒合後であったとしても 歩き始めて痛みが強くなったり、腫れが出てくるようであれば、無理しないほうがよいと思われます。
また、仕事に復帰するかどうかは、主治医に業務内容をよく説明した上で、許可をもらってからにしてください。
仕事への復帰が難しい場合には、そのことを診断書に記載してもらって、労災や保険会社に提出することで、休業補償の支払を継続してもらうことが可能です。
これに対し、一度仕事に復帰してしまうと、休業補償の支払の再開は渋られることが多いですので、注意が必要です。
足首骨折が労災で後遺症に認定された場合の障害補償給付
労災の後遺障害等級も自賠責保険と同じ基準で認定されますので、業務中に足首を骨折した場合や通勤中の交通事故で後遺症が残った場合には、労災の申請も可能です。
労災で後遺障害の認定を受けた場合には、次の金額の障害補償給付が8級以下であれば一時金で、7級以上であれば年金で支給されます。
後遺障害等級 | 障害(補償)給付 | 障害特別年金/一時金 | 障害特別支給金 |
---|---|---|---|
後遺障害1級 | 給付基礎日額 x 313日分(年金) | 算定基礎日額 x 313日分(年金) | 342万円(一時金) |
後遺障害2級 | 給付基礎日額 x 277日分(年金) | 算定基礎日額 x 277日分(年金) | 320万円(一時金) |
後遺障害3級 | 給付基礎日額 x 245日分(年金) | 算定基礎日額 x 245日分(年金) | 300万円(一時金) |
後遺障害4級 | 給付基礎日額 x 213日分(年金) | 算定基礎日額 x 213日分(年金) | 264万円(一時金) |
後遺障害5級 | 給付基礎日額 x 184日分(年金) | 算定基礎日額 x 184日分(年金) | 225万円(一時金) |
後遺障害6級 | 給付基礎日額 x 156日分(年金) | 算定基礎日額 x 156日分(年金) | 192万円(一時金) |
後遺障害7級 | 給付基礎日額 x 131日分(年金) | 算定基礎日額 x 131日分(年金) | 159万円(一時金) |
後遺障害8級 | 給付基礎日額 x 503日分(一時金) | 算定基礎日額 x 503日分(一時金) | 65万円(一時金) |
後遺障害9級 | 給付基礎日額 x 391日分(一時金) | 算定基礎日額 x 391日分(一時金) | 50万円(一時金) |
後遺障害10級 | 給付基礎日額 x 302日分(一時金) | 算定基礎日額 x 302日分(一時金) | 39万円(一時金) |
後遺障害11級 | 給付基礎日額 x 223日分(一時金) | 算定基礎日額 x 223日分(一時金) | 29万円(一時金) |
後遺障害12級 | 給付基礎日額 x 156日分(一時金) | 算定基礎日額 x 156日分(一時金) | 20万円(一時金) |
後遺障害13級 | 給付基礎日額 x 101日分(一時金) | 算定基礎日額 x 101日分(一時金) | 14万円(一時金) |
後遺障害14級 | 給付基礎日額 x 56日分(一時金) | 算定基礎日額 x 56日分(一時金) | 8万円(一時金) |
この解説の筆者(担当弁護士)
弁護士 藤川真之介
弁護士法人法律事務所リンクス(京都弁護士会)代表弁護士。交通事故の被害者の救済に取り組む。特に後遺障害等級の獲得に注力し、担当した裁判例が交通事故専門誌「自保ジャーナル」2048号に掲載。京都大学法学部卒業。2007年弁護士登録(登録番号35346)。