後遺障害認定の期間は?いつ支払いがある?最短で何日待てば?
後遺障害が認められるのは治療が終わってから。
認定されてから支払いまでのスピードは弁護士に依頼すれば早くできる。
交通事故で負った治らないけがのことを「後遺症」と呼びます。
後遺症は「損害保険料率算出機構」の自賠責損害調査事務所の調査によって「後遺障害」と認められる可能性があります。
後遺障害が認められれば慰謝料の金額もアップしますし、「事故がなければ将来得られたであろう賃金」など、高額な損害賠償金を請求することもできます。
では、後遺症が後遺障害として認められるにはどれくらいの期間がかかるのでしょうか。
このページでは、法律事務所リンクスの交通事故に強い弁護士が、後遺障害認定までの期間や流れ、最短で認定を受ける方法などを紹介します。
後遺障害認定全般についてお知りになりたい方は、「交通事故の後遺症が後遺障害認定されるには?弁護士が実例を基に解説」をご覧ください。
後遺障害14級の認定手続きや認定されない場合の対処法については、「後遺障害14級は誰が認定する?認定されたらどうなる?慰謝料の計算方法も解説」をご覧ください。
後遺障害12級の認定される確率やその場合のメリットやデメリットについては、「後遺障害12級の認定率やメリット・デメリットは?慰謝料の計算方法も解説」をご覧ください。
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後遺障害認定までにかかる期間は?
後遺障害認定までにかかる期間はだいたい1~2ヶ月です。
下記のグラフをご覧ください。「損害保険料率算出機構」による「損害調査の所要日数」のデータになります。
上から2番目、後遺障害の部分を見ると30日以内が73.8%、60日以内の人を合わせると「87.5%」になります。
つまり、ほとんどの方は60日以内に審査が完了しています。審査に3ヶ月以上かかっている人は10%程度になります。
後遺障害認定されたらいつ支払いがある?
後遺障害が認定された場合に自賠責保険分と任意保険分の支払いを受けることができるタイミングは、後遺障害の申請方法が「被害者請求」か「事前認定」かによって変わってきます。
「被害者請求」とは、被害者自身又は被害者が依頼した弁護士が、自身で後遺障害の認定資料を集めて自賠責保険に提出し、後遺障害認定の手続きを行うことをいいます。
これに対して、相手の任意保険会社に後遺障害認定手続きを任せることを「事前認定」と呼びます。
「事前認定」で後遺障害等級が認定された場合、任意保険会社と示談が成立した後、任意保険会社から自賠責保険分と任意保険分の支払いを受けることになります。
事故で負った怪我の大きさにもよりますが、事故から治療終了までが半年~1年、後遺障害認定の調査にかかる期間は1~2ヶ月、後遺障害のある人身事故の示談交渉にかかる期間はおおよそ3ヶ月程度、裁判になった場合は1年程度が目安と言われていますので、トータルで見ると、事故発生から示談成立し、入金に至るまでには、1年~2年の時間がかかるものと考えられます。
一方、被害者請求をした場合には、後遺障害等級が認定されたタイミングで、自賠責保険から自賠責保険分については支払いを受けることができますので、事故発生から1年以内には自賠責保険分の支払いを先行して受けることも可能です。
後遺障害認定までの流れ
次に、交通事故が起きてから後遺障害が認定されるまでの流れを説明します。
治療開始~症状固定
まず、事故によるけがの治療を開始します。前提として、治療にかかった費用は加害者に請求することができます。
例えば、被害者がむちうちになり、首を痛めてしまったとしましょう。
1か月、2か月…と治療を続けていくうちにだんだん回復に向かっていきましたが、一定のところで治療の効果がなくなってしまいました。
「痛みがずっと残っており、今後の回復も見込めない状況」ですが、その場合、ずっと治療し続けて治療費を請求できるのでしょうか?
答えはNOです。下記画像をご覧ください。
医師と被害者が相談し、「治療を継続してもこれ以上回復しない」と判断した時点で症状固定を行います。
症状固定を行った時点で、加害者からの治療費の負担は打ち止めになります。
症状固定を行うことが後遺障害認定を受けるための第一歩となりますが、けがの内容によって症状固定までにかかる期間は異なります。
- 指の切断など…傷口がふさがったタイミングで症状固定となる
- むちうち…自覚症状(本人が訴える痛み)に対して経過を見ながら治療をするため、6か月程度かかる
- 高次脳機能障害…リハビリの経過等もチェックしなければならないため、1年程度かかる
後遺障害診断書を作成してもらう
後遺障害診断書とは、交通事故で治療をしてもこれ以上症状が改善しないと診断された場合に、後遺症の内容を証明してもらうために作成してもらう書面です。
症状固定となった場合に、保険会社から書式をもらうなどして後遺障害診断書を準備し、主治医に作成をお願いします。
【関連:後遺障害診断書のもらい方~書いてくれない?デメリットや書式ダウンロード記入例も】
自賠責保険か任意保険会社に後遺障害診断書を提出する
症状固定が済んだら、医師に後遺障害診断書を作ってもらい、相手の保険会社に提出します。
診断書を受け取った保険会社は、後遺障害認定に必要な書類の作成や収集を行い、認定手続きの準備を行います。
損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所が後遺障害の調査を行う
自賠責保険や任意保険会社は、後遺障害認定手続きのための資料が整ったら、「損害保険料率算出機構」の自賠責損害調査事務所、資料を送ります。
調査に関しては先ほど説明した通り、結果が出るまでに1~2か月程度の期間を要します。
複数の後遺症があったり、症状が複雑な場合には、さらなる期間がかかることを覚えておきましょう。
後遺障害等級認定または非該当の結果が出る
損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所の調査を経て、後遺障害等級が認定されたり、後遺障害非該当という結果が決まります。
後遺障害等級が認定された場合、1~14級のいずれかになり、後遺障害等級に対応する損害賠償金の請求が可能になります。
後遺障害認定の不服の場合は異議申し立てをする
後遺障害が非該当になったり、納得できる後遺障害等級が認定されなかったとしても、すぐにあきらめてはいけません。
異議申し立てを行うことで、再度審査を受けることができるからです。
- 事前認定の場合…相手の保険会社に異議申し立てをする
- 被害者請求の場合…自ら(もしくは弁護士に依頼して)自賠責保険に対して異議申し立てをする
初回と同じ内容で再審査をしても結果は変わりませんので、異議申し立てをする際は、追加の資料や医学的証拠を用意する必要があります。
異議申し立ては何度でもできますが、一向に結果が変わらない場合、何が原因なのか弁護士に相談する必要があるでしょう。
後遺障害認定に時間がかかる理由
後遺障害の認定手続きに時間がかかっている場合、どのような理由が考えられるのでしょうか。
加害者側の任意保険会社の手続きが遅いから
加害者側の任意保険会社の手続きが遅れていることで、後遺障害認定に時間がかかってしまうケースです。
事前認定を行えば自分で手続きをする必要がないため、手間を省くことができますが、保険会社側が自分を最優先で対応してくれるとは限りません。
他の顧客対応に終われている可能性もありますし、社内事情や手続き漏れなどで業務が滞っている可能性も考えられます。
症状が複雑なため、認定に時間がかかっているから
複数の後遺症を負っていたり、症状の内容が複雑な場合、等級認定の審査に時間がかかる場合があります。
また、必要書類に不足があり、事故と後遺症の関連性がわかりにくいなどの事情がある場合、再検査などを求められる場合もあります。
このように、損害保険料率算出機構側の自賠責損害調査事務所の調査の都合で認定が遅れる場合もあることを覚えておきましょう。
後遺障害認定が遅れているときの対処法
後遺障害認定に時間がかかっていると感じた場合、被害者に出来ることには何があるのでしょうか。
保険会社に進捗を尋ねる
任意保険会社に後遺障害等級認定を任せている場合には、任意保険会社の担当者に問い合わせを行いましょう。
すでに審査は始まっているのか、まだ保険会社側で申請の準備をしているのか確認すべきです。
まだ、審査の準備をしているのであれば、なるべく早く手続きしてもらえるようお願いしましょう。
「保険会社が単に手続きを忘れていた」などの可能性もゼロではありません。
保険会社に問い合わせを行うことで、優先して対応してもらえる可能性が高くなりますし、被害者自身も安心して認定されるのを待つことができます。
自賠責保険への被害者請求にして自ら手続きを行う
被害者請求の場合、自分で資料を集める必要はありますが、自ら主導して後遺障害認定の手続きを進めることができるので、資料さえ集めてしまえば早いです。。
保険会社に「自分で後遺障害認定手続きを行う(被害者請求をする)こと」を伝え、等級認定に必要な書類をすべて受け取ります。
不足している書類は自分で収集、作成する必要がありますが、弁護士に相談・依頼して被害者請求をしてもらうことも可能です。
手続きに手間取ってしまうと、結果として余計に時間がかかってしまう可能性もあるため、注意が必要です。
被害者請求の場合には、後遺障害等級が出れば、一時金が支払われるのもメリットです。
補足:焦って示談に応じないこと!
後遺障害認定手続きが思うように進まないからといって、あきらめて示談をすることは絶対にやめましょう。
示談が成立すれば速やかに示談金が支払われますが、「後遺障害が認定されているか、いないか」で金額が大きく変化します。
等級認定された場合の示談金は、されてない場合と比べて数百万円~数千万円の差がつくこともよくあります。
「経済的に苦しいので早くお金が欲しい」や「面倒なので早く終わらせてしまいたい」などの理由で後遺障害認定をあきらめてしまうのはおすすめしません。
後遺障害が認定される確率は?
実際のところ、後遺障害が認定される確率はどのくらいなのでしょうか。
後遺障害が認められる確率ですが、何ともいえないのが実際のところです。
損害保険料算出機構によるデータで、2021年の場合、自賠責保険が支払いを行ったのは「全体で837,390件」です。
そのうち、後遺障害に対して支払われたのが「38,837件」なので、「事故全体の支払い件数」に対する「後遺障害の支払い率(認定率)は約4.6%」となります。
【関連:交通事故で後遺障害の認定は厳しい?認定率はどれくらい?】
後遺障害認定を最短で受ける方法は?
なるべく無駄を省き、後遺障害認定を最短で受ける方法を紹介します。
被害者請求を行う
後遺障害認定を最短で受けたいのであれば、最初から被害者請求で手続きをすることをおすすめします。
事前認定を行う場合、書類集めや手続きの手間は省けますが、手続きのスピードは相手の保険会社次第になってしまいます。
被害者請求で自ら手続きを行えば、誰かが手続きしてくれるのを待つことなく、最短で申請を行い、結果をもらうことができるはずです。
後遺障害認定手続きを弁護士に依頼する
自ら後遺障害の認定手続きをすれば、「相手の保険会社が手続きするのを待たなくていいので、最短での認定が狙える」と説明しましたが、実際には簡単ではありません。
後遺障害の認定手続きを熟知しており、速やかに必要書類を用意し、手続きを進められる一般の方などいないに等しいからです。
ですので、被害者請求をする際は弁護士に依頼するのがおすすめです。
弁護士に依頼すれば必要書類の収集や作成をお任せできるうえに、相手の保険会社の都合に合わせる必要もありません。
また、事前認定の場合、相手の保険会社が認定手続きを行いますが、等級認定をされたところで、彼らにメリットはありません(示談金の支払いが増えるだけ)。
ですから、最低限の書類を用意して事務的に処理してしまいます。
その点、弁護士が行う被害者請求は、必要書類に不足がないだけでなく、内容もブラッシュアップされているので、狙った等級に認定される確率が高くなります。
【関連:交通事故の弁護士費用の相場は?弁護士費用特約で無料依頼が可能!】
後遺障害認定に関するよくある質問
自賠責での後遺障害認定は何日待てばいい?
だいたいのケースでは30~60日ほど待てば結果が出ます。
「損害保険料率算出機構 – 自動車保険の概況」によると、審査結果がでたのが「30日以内の人が73.8%」、60日以内に終わった人は全体の90%弱になります。
60日以上待つケースは少なめです。
後遺障害認定を受けるために必要な通院期間は?
後遺障害を受けるために必要な通院期間は、負ったけがの内容によって変わります。
後遺障害認定を受けるためには、その前に医師から「症状固定」の診断を受ける必要があります。
症状固定とは、医師が「これ以上治療しても回復は見込めない(後遺症が残った)」と判断することです。
例えば複雑骨折など「治癒そのものにも時間がかかるし、骨がきれいにくっつくかどうか、経過を見てみないとわからないようなケース」では通院期間が長くなります。
むちうちの場合、3ヶ月以内に治るケースが多いですが、後遺障害認定を受けるためには6か月程度の通院期間が必要だといわれています。
脳の損傷による「高次脳機能障害」の場合、リハビリと共に経過を見ていく必要があるため、通院は1年程度必要だと言われています。
後遺障害14級に認定されるのに必要な通院期間は?
後遺障害14級に認定されるのに必要な通院期間は、以下の通りです。
- 通院日数…計60日以上(目安)※
- 通院ペース…週3~4回(目安)
- 通院期間…6か月以上
※整骨院にメインで通う場合、整骨院に60日、病院に20日、計80日程度通うのが理想とされています。
もちろん、上記の期間やペースで通えば必ず14級が認定されるわけではありません。
- 事故とけがの因果関係がはっきりしている
- けがの内容が14級の認定基準を満たしている
- 事故発生から症状固定まで一貫した主張と通院を貫くこと など
上記のような条件を満たして、ようやく14級が認められることを覚えておきましょう。
【関連:後遺障害14級の金額は75万円?認定率は?慰謝料・逸失利益・示談金の計算は?】
まとめ
後遺障害認定までの期間や流れ、最短で認定を受けるためのポイントなどを説明しました。
記事の中で重要な部分をまとめます。
- 後遺障害は申請してから結果が出るまでに1~2ヶ月かかる
- 後遺障害の認定を受けられるのは、医師が「回復の見込みはない」と判断し、「症状固定」をしたあと
- 後遺障害の調査は「損害保険料率算出機構」が行う
- 後遺障害認定手続きは相手の保険会社に任せる「事前認定」と自ら手続きをする「被害者請求」がある
- 事前認定だと相手の保険会社の都合で手続きが遅くなることがある
- 被害者請求であれば最短での認定が狙えるが、手続きが難しいので弁護士に依頼するのがおすすめ
- 「早く示談金を受け取りたいから」などの理由で後遺障害認定をあきらめてしまうと、損害賠償金額が大きく下がり、損をする
後遺障害認定を受けるためには、事故の初期段階から先を見据え、適切な治療を受けていく必要があります。
また、相手の保険会社の提案や交渉にも安易に乗ってはいけません。
確実な後遺障害の認定や慰謝料のアップを目指したいからは、なるべく早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
法律事務所リンクスの弁護士が無料電話相談で分かりやすく説明いたしますので、お気軽にご相談ください。
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このコンテンツの監修
弁護士法人法律事務所リンクス
代表弁護士 藤川 真之介
交通事故の被害者の救済に取り組む。特に後遺障害等級の獲得に注力し、担当した裁判例が交通事故専門誌「自保ジャーナル」2048号等多数掲載。京都大学法学部卒業。2007年弁護士登録(日弁連登録番号35346)。京都弁護士会所属。2016年に交通事故被害者のための法律事務所として弁護士法人法律事務所リンクス(日弁連届出番号1030)創設。