遺留分の計算方法は?子供のみ2人3人の割合は?親兄弟相続人以外は?
遺留分の具体的な計算方法が知りたいのですが?
遺留分の割合計算シート
遺留分の割合は相続人の構成によって各相続人の遺留分は変わります。具体的には次の遺留分の割合計算シートのとおりです。
相続人の構成 | 各相続人の遺留分割合 | |||
配偶者 | 子供 | 父母 | 兄弟 | |
①配偶者のみ | 1/2 | |||
②配偶者と子供 | 1/4 | 1/4の人数割 | ||
③配偶者と親 | 1/3 | 1/6の人数割 | ||
④配偶者と兄弟姉妹 | 1/2 | なし | ||
⑤子供のみ | 1/2の人数割 | |||
⑥親のみ | 1/3の人数割 | |||
⑦兄弟姉妹のみ | なし |
遺留分と遺留分侵害額の計算シミュレーション
以下では、相続人の構成ごとに、遺留分の算定の基礎となる財産(相続財産に生前贈与等した額を加えた金額と考えておいてください。正確な説明は最後にします。)が6000万円の場合に遺留分や遺留分侵害額の計算がどうなるかのシミュレーションを説明します。
遺留分の割合や計算方法の説明よりも請求の方法に興味がある方は「遺留分を請求したい」をご覧ください。
また遺留分侵害額請求をされてお困りの方は「遺留分を請求された」をご覧ください。
配偶者の遺留分の割合と計算方法
① 相続人が配偶者のみの場合
配偶者の遺留分の割合
配偶者の遺留分は2分の1です。
したがって、遺留分算定基礎財産が6000万円だとすると、遺留分は3000万円です。
配偶者の遺留分侵害額請求額の計算方法
亡くなった夫(妻)が自分以外の人に遺留分算定基礎財産の2分の1に当たる3000万円を超える財産を遺贈・生前贈与等していた場合、残りの財産は3000万円を下回ることになり、配偶者の遺留分が侵害されることになりますので、侵害されている額の分だけ遺留分侵害額請求をすることができます。
例えば、自分以外の人に4000万円を遺贈・生前贈与等していた場合、配偶者は2000万円しか取得できず、遺留分3000万円の内の1000万円が侵害されることになりますので、1000万円の遺留分侵害額請求をすることができます。
② 相続人が配偶者と子供1人の場合
配偶者の遺留分の割合
配偶者の遺留分は4分の1です。
したがって、遺留分算定基礎財産が6000万円だとすると、遺留分は1500万円です。
配偶者の遺留分侵害額請求額の計算方法
子供に多額の相続・遺贈・生前贈与があった場合
亡くなった夫(妻)が子供に遺留分算定基礎財産の4分の3に当たる4500万円を超える財産を相続・遺贈・生前贈与等していた場合、残りの財産は1500万円を下回り、配偶者の遺留分が侵害されることになりますので、侵害されている額の分だけ遺留分侵害額請求をすることができます。
例えば、子供に5000万円を相続・遺贈・生前贈与等していた場合、配偶者は最高で1000万円しか取得できず、その場合に遺留分が500万円分侵害されることになりますので、500万円の遺留分侵害額請求をすることができます。
相続人以外に多額の相続・遺贈・生前贈与があった場合
相続人以外に遺贈・生前贈与があった場合には、残りの財産を子供と分けることになりますので、配偶者の取得できる財産はより少なくなりますので、相続人以外に渡った額がより少なかったとしても、配偶者の遺留分が侵害されることになります。
例えば、相続人以外に3000万円を超える財産を遺贈・生前贈与等していた場合、残りの財産は3000万円を下回ることになります。
この場合、配偶者は、残りの財産を共同相続人である子供と分けることになりますが、法定相続分である2分の1を取得しても、1500万円を下回る額となり、配偶者の遺留分に達しないことになります。
③ 相続人が配偶者と親の場合
配偶者の遺留分の割合
配偶者の遺留分は3分の1です。
したがって、遺留分算定基礎財産が6000万円だとすると、遺留分は2000万円です。
配偶者の遺留分侵害額請求額の計算方法
親に多額の相続・遺贈・生前贈与があった場合
亡くなった夫(妻)が親に遺留分算定基礎財産の3分の2に当たる4000万円を超える財産を相続・遺贈・生前贈与等していた場合、残りの財産は2000万円を下回ることになり、配偶者の遺留分が侵害されることになりますので、侵害されている額の分だけ遺留分侵害額請求をすることができます。
例えば、親に5000万円を相続・遺贈・生前贈与等していた場合、配偶者は最高で1000万円しか取得できず、その場合に遺留分が1000万円分侵害されることになりますので、1000万円の遺留分侵害額請求をすることができます。
相続人以外に多額の相続・遺贈・生前贈与があった場合
相続人以外に遺贈・生前贈与があった場合には、残りの財産を親と分けることになりますので、配偶者の取得できる財産はより少なくなりますので、相続人以外に渡った額がより少なかったとしても、配偶者の遺留分が侵害されることになります。
例えば、相続人以外に3000万円を超える財産を遺贈・生前贈与等していた場合、残りの財産は3000万円を下回ることになります。
この場合、配偶者は、残りの財産を共同相続人である親と分けることになりますが、法定相続分である3分の2を取得しても、2000万円を下回る額となり、配偶者の遺留分に達しないことになります。
④ 相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合
配偶者の遺留分の割合
配偶者の遺留分は2分の1です。
したがって、遺留分算定基礎財産が6000万円だとすると、遺留分は3000万円です。
配偶者の遺留分侵害額請求額の計算方法
兄弟姉妹に多額の相続・遺贈・生前贈与があった場合
亡くなった夫(妻)が兄弟姉妹に遺留分算定基礎財産の2分の1に当たる3000万円を超える財産を相続・遺贈・生前贈与等していた場合、残りの財産は3000万円を下回ることになり、配偶者の遺留分が侵害されることになりますので、侵害されている額の分だけ遺留分侵害額請求をすることができます。
例えば、親に4000万円を相続・遺贈・生前贈与等していた場合、配偶者は最高で2000万円しか取得できず、その場合に遺留分が1000万円分侵害されることになりますので、1000万円の遺留分侵害額請求をすることができます。
相続人以外に多額の相続・遺贈・生前贈与があった場合
相続人以外に遺贈・生前贈与があった場合には、残りの財産を兄弟姉妹と分けることになりますので、配偶者の取得できる財産はより少なくなりますので、相続人以外に渡った額がより少なかったとしても、配偶者の遺留分が侵害されることになります。
例えば、相続人以外に2000万円を超える財産を遺贈・生前贈与等していた場合、残りの財産は4000万円を下回ることになります。
この場合、配偶者は、残りの財産を共同相続人である兄弟姉妹と分けることになりますが、法定相続分である4分の3を取得しても、3000万円を下回る額となり、配偶者の遺留分に達しないことになります。
子供1人の遺留分の割合と計算方法
② 相続人が配偶者と子供の場合の遺留分の割合と計算方法
子供の遺留分の割合
子供の遺留分は4分の1です。
したがって、遺留分算定基礎財産が6000万円だとすると、遺留分は1500万円です。
子供の遺留分侵害額請求額の計算方法
配偶者に多額の相続・遺贈・生前贈与があった場合
亡くなった親が配偶者に遺留分算定基礎財産の4分の3に当たる4500万円を超える財産を相続・遺贈・生前贈与等していた場合、残りの財産は1500万円を下回り、子供の遺留分が侵害されることになりますので、侵害されている額の分だけ遺留分侵害額請求をすることができます。
例えば、配偶者に5000万円を相続・遺贈・生前贈与等していた場合、子供は最高で1000万円しか取得できず、その場合に遺留分が500万円分侵害されることになりますので、500万円の遺留分侵害額請求をすることができます。
相続人以外に多額の相続・遺贈・生前贈与があった場合
相続人以外に遺贈・生前贈与があった場合には、残りの財産を配偶者と分けることになりますので、子供の取得できる財産はより少なくなりますので、相続人以外に渡った額がより少なかったとしても、子供の遺留分が侵害されることになります。
例えば、相続人以外に3000万円を超える財産を遺贈・生前贈与等していた場合、残りの財産は3000万円を下回ることになります。
この場合、子供は、残りの財産を共同相続人である配偶者と分けることになりますが、法定相続分である2分の1を取得しても、1500万円を下回る額となり、子供の遺留分に達しないことになります。
⑤ 相続人が子供1人のみの遺留分の割合と計算方法
子供の遺留分の割合
子供の遺留分は2分の1です。
したがって、遺留分算定基礎財産が6000万円だとすると、遺留分は3000万円です。
子供の遺留分侵害額請求額の計算方法
親が自分以外の人に遺留分算定基礎財産の2分の1に当たる3000万円を超える財産を遺贈・生前贈与等していた場合、残りの財産は3000万円を下回ることになり、子供の遺留分が侵害されることになりますので、侵害されている額の分だけ遺留分侵害額請求をすることができます。
例えば、自分以外の人に4000万円を遺贈・生前贈与等していた場合、子供は2000万円しか取得できず、遺留分が1000万円分侵害されることになりますので、1000万円の遺留分侵害額請求をすることができます。
子供2人の遺留分の割合と計算方法
② 相続人が配偶者と子供2人の場合
子供の遺留分の割合
子供全体の遺留分は4分の1なので、子供1人の遺留分はその2分の1の8分の1になります。
したがって、遺留分算定基礎財産が6000万円だとすると、遺留分は子供全体で1500万円、子供1人当たり750万円になります。
子供の遺留分侵害額請求額の計算方法
配偶者に多額の相続・遺贈・生前贈与があった場合
亡くなった親が配偶者に遺留分算定基礎財産の4分の3に当たる4500万円を超える財産を相続・遺贈・生前贈与等していた場合、残りの財産は1500万円を下回り、子供の遺留分が侵害されることになりますので、侵害されている額の分だけ遺留分侵害額請求をすることができます。
例えば、配偶者に5000万円を相続・遺贈・生前贈与等していた場合、子供2人は最高で1000万円しか取得できません。
この場合、子供1人当たり500万となり、その場合に遺留分が250万円分侵害されることになりますので、250万円の遺留分侵害額請求をすることができます。
1人の子供に多額の相続・遺贈・生前贈与があった場合
亡くなった親が、1人の子供に3750万円を超える財産を相続・遺贈・生前贈与等していた場合、残りの財産は2250万円を下回ります。
この場合、もう1人の子供は、残りの財産を共同相続人である配偶者と分けることになります。
親の法定相続分が2分の1、もう1人の子供の法定相続分が4分の1なので、2250万円を2:1で分けた場合、もう1人の子供の取得財産は750万円を下回る額となり、子供1人当たりの遺留分に達しないことになります。
相続人以外に多額の相続・遺贈・生前贈与があった場合
相続人以外に遺贈・生前贈与があった場合には、残りの財産を配偶者と分けることになりますので、子供の取得できる財産はより少なくなりますので、相続人以外に渡った額がより少なかったとしても、子供の遺留分が侵害されることになります。
例えば、相続人以外に3000万円を超える財産を遺贈・生前贈与等していた場合、残りの財産は3000万円を下回ることになります。
この場合、子供は、残りの財産を共同相続人である配偶者と分けることになりますが、法定相続分である4分の1を取得しても、750万円を下回る額となり、子供の遺留分に達しないことになります。
⑤ 相続人が子供2人のみの場合
子供の遺留分の割合
子供全体の遺留分は2分の1なので、子供1人の遺留分はその2分の1の4分の1になります。
したがって、遺留分算定基礎財産が6000万円だとすると、遺留分は子供全体で3000万円、子供1人当たり1500万円になります。
子供の遺留分侵害額請求額の計算方法
1人の子供に多額の相続・遺贈・生前贈与があった場合
亡くなった親が1人の子供に遺留分算定基礎財産の4分の3に当たる4500万円を超える財産を相続・遺贈・生前贈与等していた場合、残りの財産は1500万円を下回り、もう1人の子供の遺留分が侵害されることになりますので、侵害されている額の分だけ遺留分侵害額請求をすることができます。
例えば、1人の子供に5000万円を相続・遺贈・生前贈与等していた場合、もう1人の子供は最高で1000万円しか取得できず、遺留分が500万円分侵害されることになりますので、500万円の遺留分侵害額請求をすることができます。
相続人以外に多額の相続・遺贈・生前贈与があった場合
相続人以外に遺贈・生前贈与があった場合には、残りの財産を子供2人で分けることになり、子供1人当たりで取得できる財産はより少なくなりますので、相続人以外に渡った額がより少なかったとしても、子供の遺留分が侵害されることになります。
例えば、相続人以外に3000万円を超える財産を遺贈・生前贈与等していた場合、残りの財産は3000万円を下回ることになります。
この場合、子供は、残りの財産を分けることになりますが、法定相続分である2分の1を取得しても、1500万円を下回る額となり、子供1人当たりの遺留分に達しないことになります。
子供3人の遺留分の割合と計算方法
子供の遺留分の割合
配偶者がご存命の場合の遺留分の割合は12分の1、配偶者が他界している場合の遺留分の割合は6分の1になります。
子供の遺留分の計算方法
子供2人の場合と同様に計算して頂ければと思います。
親の遺留分の計算方法
③ 相続人が親と配偶者の場合
親の遺留分の割合
親全体の遺留分は6分の1です。
したがって、遺留分算定基礎財産が6000万円だとすると、遺留分は1000万円です。
親の遺留分侵害額請求額の計算方法
配偶者に多額の相続・遺贈・生前贈与があった場合
亡くなった子が配偶者に遺留分算定基礎財産の6分の5に当たる5000万円を超える財産を相続・遺贈・生前贈与等していた場合、残りの財産は1000万円を下回り、親の遺留分が侵害されることになりますので、侵害されている額の分だけ遺留分侵害額請求をすることができます。
例えば、配偶者に5500万円を相続・遺贈・生前贈与等していた場合、配偶者は最高で500万円しか取得できず、その場合に遺留分が500万円分侵害されることになりますので、500万円の遺留分侵害額請求をすることができます。
相続人以外に多額の相続・遺贈・生前贈与があった場合
相続人以外に遺贈・生前贈与があった場合には、残りの財産を配偶者と分けることになりますので、親の取得できる財産はより少なくなりますので、相続人以外に渡った額がより少なかったとしても、親の遺留分が侵害されることになります。
例えば、相続人以外に3000万円を超える財産を遺贈・生前贈与等していた場合、残りの財産は3000万円を下回ることになります。
この場合、親は、残りの財産を共同相続人である配偶者と分けることになりますが、法定相続分である3分の1を取得しても、1000万円を下回る額となり、親の遺留分に達しないことになります。
⑥ 相続人が親のみの場合
親の遺留分の割合
親の遺留分は3分の1です。
したがって、遺留分算定基礎財産が6000万円だとすると、遺留分は2000万円です。
親の遺留分侵害額請求額の計算
親が自分以外の人に遺留分算定基礎財産の3分の2に当たる4000万円を超える財産を遺贈・生前贈与等していた場合、残りの財産は2000万円を下回ることになり、親の遺留分が侵害されることになりますので、侵害されている額の分だけ遺留分侵害額請求をすることができます。
例えば、自分以外の人に5000万円を遺贈・生前贈与等していた場合、親は1000万円しか取得できず、遺留分が1000万円分侵害されることになりますので、1000万円の遺留分侵害額請求をすることができます。
遺留分の計算式
各相続人の遺留分の額がいくらかになるかについては、以下の計算式によって算出します。
①遺留分算定の基礎となる財産額(遺留分算定基礎額)×②各相続人の遺留分割合
そこで、以下では①遺留分算定基礎額の計算方法と②各相続人の遺留分割合をご説明します。
① 遺留分算定基礎額の計算方法
遺留分算定の基礎となる財産額は、以下の計算式によって算出します。
被相続人が亡くなった時に保有していた財産(相続財産)+死因贈与・生前贈与した額-被相続人から相続しないといけない負債
遺留分の算定基礎に含まれるもの ※2019年7月1日以後に開始した相続の場合
- 相続財産(遺贈されたものを含む)
- 相続人に対する相続開始前10年間に契約が締結された「婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本」としてされた死因・生前贈与( 民法1044条3項)
- 相続人以外に対する相続開始前1年間に契約が締結された死因贈与・生前贈与(民法1044条1項第1文)
- 当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってなされた死因贈与・生前贈与(無期限)(民法1044条1項第2文)
- 当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってなされた不相当な対価の有償処分(無期限)(民法1045条2項)
遺留分の算定基礎に含まれないもの
- 相続開始1年前より過去に契約が締結された相続人以外に対する死因贈与・生前贈与(相続開始前1年以内に履行されていても構わない)
- 相続人を受取人とする生命保険金(例外あり)
- 死亡退職金等の遺族給付(例外あり)
② 各相続人の遺留分の割合
先程お示しした下記の表の遺留分の割合を掛けることになります。
相続人の構成 | 各相続人の遺留分 | |||
配偶者 | 子供 | 父母 | 兄弟 | |
①配偶者のみ | 1/2 | |||
②配偶者と子供 | 1/4 | 1/4の人数割 | ||
③配偶者と親 | 1/3 | 1/6の人数割 | ||
④配偶者と兄弟姉妹 | 1/2 | なし | ||
⑤子供のみ | 1/2の人数割 | |||
⑥親のみ | 1/3の人数割 | |||
⑦兄弟姉妹のみ | なし |
遺留分侵害額の計算方法
遺留分の額が決まると、自分の遺留分はどのくらい侵害されているのか(遺留分侵害額)を計算します。
その際、下記の金額を差し引くことになります。
- 遺産分割で取得した額
- 死因贈与・生前贈与で取得した特別受益の額(※10年以上前の贈与も対象!)
注意すべきなのは、相続人に対する生前贈与について、遺留分算定基礎額を計算する際には過去10年分を足せばよいですが、遺留分侵害額を計算する際に差し引く生前贈与等は10年以上前のものも対象になるということです。
第三者への寄付や負債がある場合の遺留分の計算方法
以下では第三者への寄付や負債があるというもう少し複雑な計算が必要となる事例も紹介しておきます。
Aは配偶者を既に亡くし、長男Bと長女Cがいる。
Aは亡くなるときに自宅不動産(3000万円)と預金1000万円を保有していた。
AはBに亡くなる9年前に生前贈与として1000万円を渡していたほか、亡くなる2年前に社会福祉法人Dに1000万円の寄付をしていた。
また、Eに600万円の借金をしていた。
Aは自宅不動産をBに相続させ、預金1000万円をCに相続させ、Eへの借金600万円はAが返済するよう遺言書を作成して亡くなった。
Cの遺留分はいくらか?
遺留分算定基礎額
自宅3000万円+預金1000万円+相続人Bへの生前贈与1000万円ー600万円=4400万円
相続人Bへの生前贈与は9年前なので、遺留分算定の基礎となる。
他方で、社会福祉法人への寄付は相続人以外への生前贈与であるから、相続開始前1年間にされたものでなければ遺留分算定の基礎とならないところ、寄付がされたのは亡くなる2年前なので、遺留分算定の基礎とならない。
Cの遺留分の割合
相続人は子供のみなので遺留分は2分の1の人数割りの4分の1となる。
遺留分の額
4400万円×4分の1=1100万円
では、CはBに遺留分1100万円-相続した預金1000万円=100万円を請求できるということになるのでしょうか?
また、相続した負債の扱いはどうなるのでしょうか?
遺留分侵害額の計算方法
今までご説明してきた遺留分の額は、相続人の最低限の取り分ですが、既にいくらか取り分をもらっている場合には、請求できるのは遺留分のうちまだ受け取っていない額です。
これからお話するのは、まだ受け取っていない遺留分が侵害された状態にある部分の額(遺留分侵害額)の計算方法です。
遺留分侵害額は、次のような計算式で算出します。
遺留分の額-(相続による純取り分+相続とは別に死因贈与で得る額+生前贈与等で既に得ている額)
相続による純取り分とは?
相続では、プラスの財産だけでなくマイナスの財産である負債を負担することがあります。
したがって、プラスの財産だけを受け取ったものとして差し引かれてしまうと、マイナスの財産による不利益が評価されなくなり、不公平です。
そこで、プラスの相続財産からマイナスの相続財産を差し引いた純取り分を受け取ったものとして差し引くことになっています。
例えば、預金1000万円を相続するが、負債600万円の2分の1の300万円も相続する場合、純取り分は次のようになります。
1000万円-300万円=700万円
具体的な計算方法
先ほどの例に戻って遺留分侵害額の計算方法をご説明しましょう。
事例の内容
Aには子供Bと子供Cがいる。
Aは亡くなるときに自宅不動産(3000万円)と預金1000万円を保有していた。
AはBに生前贈与として1000万円を渡していたほか、亡くなる2年前に社会福祉法人Dに1000万円の寄付をしていた。
また、Eに600万円の借金をしていた。
Aは自宅不動産をBに相続させ、預金1000万円をCに相続させ、Eへの借金600万円はAが返済するよう遺言書を作成して亡くなった。
Cの遺留分はいくらか?
遺留分算定基礎額
自宅3000万円+預金1000万円+相続人Bへの生前贈与1000万円ー600万円=4400万円
相続人Bへの生前贈与は9年前なので、遺留分算定の基礎となる。
他方で、社会福祉法人への寄付は相続人以外への生前贈与であるから、相続開始前1年間にされたものでなければ遺留分算定の基礎とならないところ、寄付がされたのは亡くなる2年前なので、遺留分算定の基礎とならない。
Cの遺留分の割合
相続人は子供のみなので遺留分は2分の1の人数割りの4分の1となる。
遺留分の額
4400万円×4分の1=1100万円
遺留分侵害額
このケースでは、負債600万円の負担割合が決められていないので、法定相続分に応じて300万円ずつ負担すると考える。
そうすると、相続による純取り分は、預金1000万円-負債300万円=700万円となる。
遺留分の額1100万円-相続による純取り分700万円=400万円
したがって、遺留分侵害額は400万円となり、これを請求する権利を有していることになる。
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弁護士費用について
遺留分侵害額請求
取得額 | 着手金 | 成功報酬 |
~300万円に当たる部分 |
0円 |
16.5%+22万 |
~3000万円に当たる部分 |
11% | |
~1億円に当たる部分 | 8.8% | |
1億円を超える部分 | 5.5% |
※1 遺留分の請求が困難な事案では着手金を頂く場合があります。
※2 弁護士費用とは別に実費(各種資料取得費用、通信費等)がかかります。
※3 弁護士費用は消費税込です。
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