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遺産分割協議書の相続に納得できないならハンコを押さないでよい?

遺産分割協議で提示された自分の相続割合に納得できないのですが?

遺産分割協議書に同意しない人と同意してもらいたい人

このページでは遺産分割協議書に同意できず、ハンコを押したくない人や署名サインしたくない人がどのように対処すべきかを説明します。

相手に遺産分割協議書に同意してもって遺産分割を進めたいという側の方は、「遺産分割協議に応じず相続の話し合いを拒否・連絡無視する人への進め方」をご覧ください。

遺産分割協議書に署名サインしないでよい場合とは?

相続が発生した際、相続人同士で何事も問題なく遺産分割が行われれば良いですが、様々な理由から遺産分割協議書に納得できないケースがあります。

このような場合、遺産分割協議書にハンコを押したり署名サインしないで構いません。

遺産分割協議書に同意できないという声が上がる代表的なケースは以下のとおりです。

生前贈与がある場合

遺産分割協議をする際、法定相続分という法律上定められた割合を目安にされるケースが多くあります。

しかし生前に贈与を受けている相続人がいた場合には、そのような特別受益を考慮しないと不公平が生じてしまう場合があります。

生前贈与がある場合には、その分も考慮した形で遺産分割を行わないとトラブルが発生する場合があります。遺産分割協議の場で生前贈与の存在を隠していた相続人がいたならなおのことです。

このような場合、生前贈与を特別受益として持ち戻しをすることが可能です。

特別受益の持ち戻しとは、生前贈与を受けた金額を相続財産に戻す計算をした上で、各相続人の相続分を計算することです。

詳しくは「特別受益に当たる生前贈与とは?持ち戻しや10年問題を解説」をご覧ください。

寄与分・特別寄与料がある場合

寄与分がある場合

亡くなった方の財産の維持、財産の増加に貢献した、献身的に療養介護を行なっていたなどの「寄与分」がある場合、この寄与分を考慮しない遺産分割案である場合、その寄与を行なった相続人にとっては納得できないものとなります。

寄与分があったとして不満がある場合、遺産分割の際に寄与分を主張することができます。

寄与には、

  • 金銭出資型(被相続人本人に資金を提供)
  • 家業従事型(無償または少ない給料で家業を手伝う)
  • 扶養型(被相続人の生活費を負担)
  • 療養看護型(看護や介護が必要な被相続人の面倒を見る)
  • 財産管理型(被相続人の財産を管理し相続財産を維持・増加させる)

といった5つの型が認められています。

寄与分が認められると、寄与を行なっていた相続人は他の相続人よりも多くの財産を受け取ることができます。

詳しくは「寄与分とは?相場や計算方法を弁護士がわかりやすく解説」をご覧ください。

特別寄与料がある場合

いわゆる「長男の嫁」など法律上の相続人以外の親族が被相続人の介護などをしていた場合は「特別寄与料」を請求することが認められており、その支払い負担が相続人間での揉め事の原因になる場合もあります。

詳しくは「特別寄与料なら相続人の嫁でももらえる?計算方法を弁護士が解説」をご覧ください。

遺産分割される財産の評価が正しくない場合

遺産分割は適正に評価された財産に応じて分割が行われますが、その評価自体が正しくない、もしくは評価方法が納得できないという場合もあります。特に評価額に大きな違いが出るのは土地・不動産部分です。

不動産の評価が低く設定されると代償金などを支払う際にその額も低くなってしまいますので、代償金を受け取る側の相続人から不満が発生するのは当然です。

このような場合、不動産の査定をすることで適切な遺産分割を受けることが可能です。

詳しくは「相続不動産の評価額の調べ方は?遺産分割での査定方法は?」をご覧ください。

遺産分割協議書に納得できない場合の対処法

ご紹介したように遺産分割協議書の内容に納得できない場合の対処法は様々ありますが、遺産分割協議でまとまらない場合には、以下のような対処法を取ることになります。

遺産分割調停・審判を申し立てる

当事者間で話がまとまらない、遺産分割協議に参加できない相続人がいるなどの場合、裁判所の調停委員が間に入り遺産分割調停を行うこともできます。
相続人同士で直接顔を合わせる必要もないため、話がまとまりやすくなります。

遺産分割調停でも話がまとまらない場合、遺産分割審判を行います。
この遺産分割審判は書面でのやり取りによって行われ、裁判官によって遺産分割の割合が決定されます。

遺産分割調停の流れは?呼び出されてやってはいけないこと

遺産分割の交渉を弁護士に相談する

遺産分割の交渉を弁護士に相談することもできます。

弁護士に相談することで、遺産分割協議が円滑に進みます。
また弁護士は依頼主の利益が最大になるように動いてくれます。

弁護士に代理人としての役割も依頼する場合、相続人と顔を合わせる必要がないため、遺産分割のやりとりで関係がこじれているような場合には精神的な負担も軽減されます。

遺産分割協議のやり直しは可能?

遺産分割協議で相続人全員が合意した場合、基本的にはやり直しはできません。

ただし、例外的にやり直しができるケースもあります。

以下のケースに該当する場合、遺産分割のやり直しをすることができます。

  • 新たに財産が見つかった場合
  • 新たに相続人があらわれた場合
  • 遺産分割協議書の重要部分に錯誤があった場合
  • 遺産分割協議自体が無効となった場合

また、上記の条件に該当していなくても、相続人全員が遺産分割のやり直しに合意した場合には再度、遺産分割協議をやり直すことは可能です。

現実的には難しい遺産分割協議のやり直し

ただし、いったん遺産分割が進んだ後からのやり直しは、他の相続人から反発を受けるケースも多く、実際には遺産分割協議のやり直しは難しいのが現実です。

遺産分割に納得がいかないのに、他の相続人の話に流され「仕方なく」「ひとまずは」と合意してしまうと、後から調整・改善するのは非常に困難です。遺産分割の内容が確定する前、遺産分割協議の場で適正な相続内容を主張することが重要です。

まとめ

今回は遺産分割や相続分に納得できない様々なケースと、遺産分割で納得できない場合の対処法、遺産分割協議のやり直し方法についてご紹介しました。

遺産分割については遺留分など、法律的な知識がないと話し合いがまとまりづらくなります。遺産分割協議を行う際には、前準備をしっかりと行うことが大切です。

弁護士は、遺産分割に納得できない場合でも、ご相談者が法的に正当な相続分を得られるよう権利を主張するとともに、中立の立場から他の相続人たちへの働きかけを行い、それぞれの意見を調整します。遺産分割協議後の協議書の作成や、相続にまつわる各種手続きの代行も行います。

遺産分割の内容で納得できずにお悩みの方は、ぜひ法律事務所リンクスの遺産相続無料相談までお気軽にご相談ください。

このコンテンツの監修

藤川真之介 弁護士の写真

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代表弁護士 藤川 真之介
弁護士登録番号35346

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