不動産の相続税・遺産分割対策
不動産の相続税対策・遺産分割対策はどうすべき?
不動産の相続対策とは
不動産の相続対策では、次の3つをのことを考える必要があります。
- 生前の不動産管理対策
- 死後の相続税対策
- 死後の遺産分割対策
1 生前の不動産管理対策
相続対策というと②の相続税対策と③の遺産分割対策のことばかり考えがちですが、亡くなった後のことを考える前に、亡くなる前に財産管理ができない状態になったらどうするかを考えることも大事です。
病気になったり、判断能力が低下したり、認知症になったりした場合には、自分で財産管理ができなくなります。
そうすると、本人の意思確認ができなくなるため、窓口で高額の預金が引き出せなかったり、老人ホームに入れようにも家を売却できないというような事態が生じてしまうことになります。
このようなことにならないためには、元気なうちから家族信託や後見などの財産管理対策をしておくことが必要です。
詳しく知りたい方は、「親が認知症対策としての財産管理・家族信託とは?」をご覧ください。
2 死後の相続税対策
不動産を購入した方が現金で持っているよりも得
不動産を購入すると、現金で持っているよりも相続税を計算する際の価値が低くなるため、相続税が低くなるというメリットがあります。
現金で不動産を購入することで、土地は20~30%減額、建物であれば築年数によっては30%以上評価額を抑えることができますし、賃貸不動産を建築すればさらなる評価額の圧縮も可能になります。
しかし、相続税対策のために不動産を購入することには、次のような問題もあります。
不動産購入による相続対策の落とし穴
まず、いざ不動産を売却しようと思ったときに、資産価値が下がっていて損をしてしまうのでは元も子もありません。
また、賃貸マンションを購入する場合、空室になれば賃料収入が入らないことになってしまいますし、賃貸管理や修繕費用のコストを考える必要があります。
そして、やはり死後のことを考えなければなりません。不動産は分けられない財産のため、相続人の遺産分割の際にトラブルの原因となることが多いですし、現金が不足していると相続財産から相続税を支払えない事態となりかねません。
したがって、新たに不動産を購入して相続税対策をする場合には、次のようなことを考えておく必要があります。
- 購入しようとする不動産の資産価値の下落幅の想定は妥当か
- 空室率・ローン利子を含めた収支のシミュレーションは現実的か
- 死後の遺産分割や納税資金に配慮できているか
次にこの③の点を詳しく見ておきましょう。
3 死後の遺産分割対策
遺言書作成のススメ
相続人が協議して不動産を遺産分割するのは大変です。
まず、不動産を遺産分割するには、不動産の価値を決める必要があります。
不動産の価値には、相続税評価額や路線価がありますが、不動産の遺産分割では時価が原則ですので、簡単には決まりません。
遺産分割の際には、不動産屋の査定をとることが多いですが、ある不動産屋が3000万円で売れるという物件について、別の不動産屋が4000万円で売れるということがざらにあります。
相続人全員が不動産の価値をいくらと考えるかで合意すればそれでよいのですが、合意できない場合には遺産分割協議がまとまらなくなってしまいます。
この場合、不動産鑑定士に価値の査定をお願いすることも考えられますが、高額の費用が掛かってしまいます。
このようにして、遺産の分け方が決まらなければ、遺産分割調停をしなければならなくなるのです。
このようなことにならないようにするため、不動産の所有者の責任として、遺言書を作成することをお勧めします。
遺言書があった方が相続人も楽
相続人が不動産を取得するには登記を移さなければなりませんが、遺言書がある場合とない場合とでは、手続の面倒さが異なります。
まず、遺言書がある場合には、不動産を取得した人が単独で登記を移すことができますので、比較的簡単です。
これに対して、遺言書がない場合には、不動産を取得する相続人は、亡くなった人が生まれてから亡くなるまでの戸籍や、相続人全員の戸籍、相続人全員の印鑑証明書を集めた上で、遺産分割協議書に相続人全員の実印を押してもらう必要があります。
したがって、遺言書がない場合、手続きが煩雑な上に、相続人の誰かが協力しなければ、登記を移せないことになります。
また、相続税の申告納付期限は10か月なので、それまでに誰がどの不動産を取得するかを決めなければならないのが原則です。そうしないと、誰がいくら相続税を支払うのかが決まらないからです。
遺言書がある場合には、誰がどの不動産を取得するかは遺言書で決まりますので心配ありませんが、遺言書がない場合、相続人が遺産分割協議に手間取ったり、折り合いがつかないことになれば、遺産分割が済まないまま10か月が経過してしまい、場合によっては、無申告加算税や延滞税を課されてしまいかねません。
特に、不動産がたくさんある場合には、それぞれの不動産の価値を確定するのに時間がかかりますので、10か月はすぐに経過してしまいますので、遺言書を作成するのは不可欠です。
遺産相続に強い弁護士による遺言書無料診断がオススメ
このように、不動産の相続対策には様々な難しい問題がありますので、遺産相続に強い弁護士による無料診断を受けられることをお勧めしております。
遺産相続の専門家には、弁護士のほかに、司法書士、税理士がいます。
司法書士は登記の専門家、税理士は税の専門家ですが、法律の専門家ではないため、法的に難しい問題が生じた時に対応ができません。
弁護士は、遺産相続の手続にも紛争にも精通しておりますので、遺産相続の最初から最後までトータルサポートさせて頂くことが可能です。
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