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遺言を作成すべき人 相続人の相続割合に差をつけたい場合

相続割合に差をつけたい場合の相続対策とは?

遺言書を作成すべき理由

日本財団が2016年12月に遺言書を作成した40歳以上の男女200人を調査したところ、遺言書を作成した理由の第7位が、「相続財産に差をつけたい」であることが分かりました。

介護してくれた人や生前に貢献してくれた人の相続割合を多めにする方法として、その人が遺産分割の際に相続財産への「寄与分」を認めてもらうという方法がありますが、他の相続人が同意しなければ簡単には認めてもらえません。

他の相続人が同意すれば相続割合に差をつけて遺産分割することは可能ですが、他の相続人は自分が経験していない介護や生前の貢献を低く評価する傾向にあるため、多くのケースでは相続割合で折り合うのが難しい状況です。

そのため、遺言書がない場合には法定相続分のとおりの相続になることが多く、相続割合に差をつけるには、遺言書の作成が不可欠なのです。

生前贈与だけでは差をつけられない

生前贈与で財産を多めにあげるので、遺言書は不要と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、単に生前贈与しただけでは、遺産分割する際に、その相続人の取り分から差し引かれてしまいますので、財産を多めにあげるという目的を達成することはできません。

その相続人に多めに財産をあげる趣旨で、生前贈与をしたのであれば、「〇〇に生前贈与した財産は遺産分割の対象財産に加えないし、〇〇の相続分から差し引かない」旨の意思表示(特別受益の持ち戻し免除の意思表示)を残しておかなければならないのです。

また、遺言書といえども、相続人の最低限の取り分である遺留分を奪うことはできませんので、遺留分に配慮した遺贈をする必要があります。

遺言書作成の際の注意点

相続割合に差をつける場合の遺言書で特に注意すべき点は、次のとおりです。

  1. 相続割合に差をつけた理由をきちんと書いておく。
  2. すべての財産を正確にかつ行き先を漏れなく記載する。
  3. 遺留分(相続人の最低限の取り分)の侵害に配慮する。
  4. 生前贈与の取り扱いを遺言書とは別に記載する。
  5. 遺言執行者を指定する。

① 相続割合に差をつける理由を書く

遺言書で相続割合に差をつけることにした場合、なぜそのような遺産の分け方にしたのかを書くことで、相続人の納得を得ておく方が、トラブルを防ぐのに役立ちます(これを「付言事項」といいます)。

なお、リンクスで遺言書を作成し、リンクスの弁護士を遺言執行者に指定して頂く場合、付言事項だけでなく、必要に応じて遺言者様のメッセージ動画を撮影をさせて頂くサービスもございます。

② すべての財産を正確かつ行き先を漏れなく記載

不動産は登記簿のとおりに記載しなければ登記を移せなくなる可能性がありますし、預貯金は金融機関名・支店名・口座の種別・口座番号・口座名義を正確に記載しなければ解約や名義変更ができなくなる可能性がありますので、財産は正確に特定して記載する必要があります。

また、遺言書に記載された財産の行き先に漏れがあった場合には、相続人は遺言書から漏れた財産の分け方を協議しなければならなくなりますので、大変な手間がかかります。すべての財産を漏れなく記載するようにしてください。なお、遺言書の作成後に財産構成が変動する可能性がありますので、思いつく限りの財産の分け方を指定した後、「その他の一切の財産」という形で行き先を指定するのが望ましいです。

③ 遺留分の侵害に配慮する

遺留分とは

相続人には次のとおり最低限の取り分である遺留分があり、遺言書でも奪うことができません。

相続人の構成

各相続人の遺留分

配偶者

子供

父母

兄弟

配偶者のみ

1/2

配偶者と子供

1/4

1/4の人数割

配偶者と親

1/3

1/6の人数割

配偶者と兄弟姉妹

1/2

なし

子供のみ

1/2の人数割

親のみ

1/3の人数割

兄弟姉妹のみ

なし

遺留分が侵害された相続人は、他の相続人に対して、遺留分を請求することができますので、遺言書では遺留分に配慮する必要があります。

遺留分を侵害したい場合

遺留分を侵害してでも相続割合に差をつけたいのであれば、遺留分を侵害される相続人に対して、遺留分を請求しないようメッセージを残しておいた方がよいと思われます。

ただし、遺言書に付言事項として記載すると、遺留分を請求できるということを知らなかった相続人からの遺留分の請求を誘発する可能性がありますので、遺言書とは別に手紙を残すかメッセージ動画を残し、弁護士などの専門家に託すのがよいと思います(リンクスで遺言書を作成し、リンクスの弁護士を遺言執行者に指定して頂く場合、遺言者様のメッセージ動画を撮影をするサービスがございます。)。

遺留分の額を下げる方法

遺留分の額をできるだけ下げる方法として、生命保険を活用した相続対策という方法があります。

例えば、次のようなケースを考えてみましょう。

遺留分対策の例

Aさんは夫を亡くし、B、Cという2人の子供がいます。Aさんには自宅(時価3000万円)と預金3000万円の合計6000万円の遺産があります。AさんはBに自宅と預金2000万円を残し、Cには預金1000万円を残そうと考えています。どうすればよいでしょうか?

Cの遺留分への対策

このような場合、Cには2分の1の人数割の4分の1の遺留分(1500万円)がありますので、Bに遺留分1500万円ー預金1000万円=500万円の遺留分侵害額を請求できることになりますが、この額を少しでも減らす方法はないのかというのが、ここで取り上げる問題です。

このような場合、生命保険を利用することで、遺留分を減らすことが考えられます。

生命保険の死亡保険金は、受取人の固有財産となりますので、例えばBに渡す予定の預金2000万円をBを受取人とする生命保険にすれば、相続財産は4000万円になります。

そうすると、Cの遺留分は4000万円の4分の1の1000万円となりますので、Cに預金1000万円を残せば遺留分の侵害が生じないことになるのです。

また、生命保険は、500万円×法定相続人の数(このケースでは3人なので1500万円)まで非課税なので、相続税対策としても有効です。

もっとも、死亡保険金の額が多額で、遺産総額の大部分を占めている場合には、Cの遺留分を侵害していると認められる場合がありますので、注意が必要です。

このように、生命保険を利用する場合でも、①遺言書にどのようなことを記載するのか、②どの程度の保険金が出る生命保険契約を締結すれば、相続税対策・遺留分対策として妥当なのかに違いが生じます。

適切な遺言書・相続対策をするため、遺産相続に強い弁護士の無料相談を利用されることをお勧めします。

④ 生前贈与の取扱いを遺言書とは別に記載

遺言書で個別の財産の行き先を指定するのではなく、相続割合だけを指定するだけにすることを希望される方もいらっしゃいます。

ただ、その場合には、遺言書で指定された相続割合が、生前贈与を含めた財産についての割合指定なのか、生前贈与を除いた財産についての割合指定なのかが分かりません。

そこで、相続と生前贈与は別であるとお考えの場合には、「〇〇に生前贈与した財産は遺産分割の対象財産に加えないし、〇〇の相続分から差し引かない」旨の意思表示(特別受益の持ち戻し免除の意思表示)を残しておかなければなりません。

ただし、遺留分の額は生前贈与を含めた財産をもとに決まりますので、遺言書に生前贈与の取扱いを記載すると、生前贈与を受けていない相続人に遺留分請求の証拠を与えることになります。

そこで、遺言書とは別に、生前贈与の取扱いを記載しておくのがよいと思われます。

⑤ 遺言執行者を指定する

遺言書を作成する際、弁護士等の専門家を遺言執行者として選任しておいた方がよいことが多いです。

その理由としては、次のようなことが考えられます。

遺言書の内容をスムーズに実現する

遺言書の中で遺言執行者を選任しておけば、遺言執行者が不動産登記、賃貸物件の管理の引き継ぎ、預貯金の名義変更・払戻し・解約、株式・債券の評価・名義変更・換金等をした上で、遺言書の内容に応じて遺産を分配してくれますので、相続人の手を煩わせることなく、相続人に分かり易い形で、遺言の内容をスムーズに実現できます。

遺言書は作成してからお亡くなりになるまでの間に時間が経過するものですので、相続人や相続財産の構成が変動するなどして複雑化することがありますが、弁護士等の専門家を遺言執行者として選任しておけば、遺産の分配をスムーズに実現できます。

遺言書の効力を争われないようにする

遺言書の中で遺言執行者を選任しておけば、遺言書が無効だと主張する相続人や遺言書に記載された遺産は遺言作成者のものではなく自分のものだと主張する相続人、親族、第三者が現れた場合でも、遺言執行者が対応してくれます(遺留分の請求を受けた場合は別ですので、遺留分の請求を受ける可能性が高い場合には、遺留分請求の代理人を用意しておくことをお勧めします。)。

以上のような理由から、リンクスでは遺言執行者を選任することをお勧めしています。

 

遺産相続に強い弁護士による遺言書無料診断がオススメ

このように、遺言書の作成には様々な難しい問題がありますので、遺産相続に強い弁護士による無料診断を受けられることをお勧めしております。

遺産相続の専門家には、弁護士のほかに、司法書士、税理士がいます。

司法書士は登記の専門家、税理士は税の専門家ですが、法律の専門家ではないため、法的に難しい問題が生じた時に対応ができません。

弁護士は、遺産相続の手続にも紛争にも精通しておりますので、遺産相続の最初から最後までトータルサポートさせて頂くことが可能です。

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代表弁護士 藤川 真之介
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