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預金の相続手続きの期限や必要書類は?引き出しの方法を弁護士が解説

預金を相続して引き出すには?

預金の相続・遺産分割の方法

預金の相続期限

預金の相続には期限はありませんが、10年以上預金を引き出さないと休眠預金として扱われたり、法定相続分を超える金額で分けることが難しくなることがあります。

預金の引き出しに必要な書類

預金の相続に必要な書類は、遺言書がある場合と遺言書がない場合とで異なります。遺言書がない場合には、相続人全員が署名捺印した遺産分割協議書が必要になるのが原則です。

1 遺言書がある場合

  • 遺言書
  • 検認調書または検認済証明書(公正証書遺言以外の場合)
  • 被相続人(亡くなられた方)の戸籍謄本または全部事項証明(死亡が確認できるもの)
  • その預金を相続される方(遺言執行者がいる場合は遺言執行者)の印鑑証明書
  • 遺言執行者の選任審判書謄本(裁判所で遺言執行者が選任されている場合)

2 遺言書がない場合

  • 遺産分割協議書(法定相続人全員の署名・捺印があるもの)
  • 被相続人(亡くなられた方)の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)
  • 相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
  • 相続人全員の印鑑証明書

預金の遺産分割の注意点

このように、預金の払戻しを受けるには、相続人全員の署名捺印がある遺産分割協議書が必要ですが、他の相続人が預金を管理している場合に、安易に遺産分割協議書に署名捺印するのは危険です。

後日、取引履歴を確認したら、生前からとんでもない額を引き出していたとか、被相続人が亡くなった後も勝手に引き出していたとかいうことがよくあるからです。そこで、遺産分割協議書に署名捺印する前に、残高証明と取引履歴を開示するよう求めてください。

仮に開示されない場合には、遺産隠しをしている可能性があるので、弁護士に相談することをお勧めします。詳しくは「遺産隠しについて知りたい」をご覧ください。

遺産分割成立前に引き出す方法は?

相続人の方の中には、遺産分割協議の成立を待ってられないので、預金の一部だけでも先行して払戻しを受けられないかとお考えの方もいらっしゃると思います。

以下では、預金の仮払いの制度や一部分割、仮分割の仮処分について、ご説明します。

預金の仮払いの制度

仮払いを受けられる額の計算方法

仮払いを受けられる額は、各金融機関の預金の3分の1に、払戻しを求める相続人の法定相続分を掛けた額です。

例えば、ある金融機関の普通預金の残高が600万円で、相続人が長男と長女であるという場合、その法定相続分はそれぞれ2分の1になります。

したがって、長男は600万円×1/3×1/2=100万円ということになります。

金融機関ごとの限度額

金融機関ごとに150万円の限度額が設けられていますので、1つの金融機関からは150万円までしか仮払いを受けられません。

例えば、A銀行の預金が1200万円の場合、長男は1200万円×1/3×1/2=200万円の支払を受けられそうですが、150万円しか仮払いを受けられません(B銀行から仮払いを受けることは可能です。)。

仮払いを受けた額の取扱い

仮払いを受けた場合、仮払いを受けた相続人の相続分からその金額の分だけ差し引かれることになります。

遺産の一部分割をして預金を払い戻す方法

相続人全員の同意があれば遺産を一部分割することができるとされているため、ある金融機関の預金口座の預金を払い戻したいということで、その金融機関の預金に関する遺産分割協議書を作成すれば、その金融機関は全額の払戻しに応じます。

一部分割で注意すべき点は?

一部分割をする場合、最終的な遺産分割の際に、一部分割した遺産をどのように取り扱うのかに注意する必要があります。

具体的には、次のようなことに注意すべきです。

① 未分割の遺産に不動産などの分けにくい財産が含まれている場合

相続人の誰かが不動産を取得することを考えている場合、その他の相続人は預金などを取得することになりますが、一部分割後の遺産だけでは不動産を取得しない相続人の取り分を賄えない可能性がありますので、そのような一部分割を行わないように注意する必要があります。

② 一部の相続人が被相続人から生前贈与を受けている場合

生前贈与を受けている相続人が一部分割で預金の払戻しを受けた場合、その相続人に遺産のもらいすぎが生じる可能性がありますが、一部分割をした以上、取り戻すのが難しいことになりますので、そのような一部分割を行わないよう注意する必要があります。

③ 被相続人に対する生前の貢献を寄与分として主張したい場合

遺産に対する寄与分を主張したい場合、無条件に一部分割を行うと、その遺産については寄与分を主張しない趣旨であったと認められる可能性があるので、一部分割した遺産に対する寄与分は最終的な遺産分割の際に清算する条項を入れるなど、注意する必要があります。

遺産相続に強い弁護士の無料相談をご利用ください

このように遺産の一部分割には法的に難しい問題が多いため、一般の方が素人判断でされると、後で取り返しがつかないことが起きる可能性があります。

一部分割をお考えの場合には、その前に遺産相続に強い弁護士の無料相談をご利用ください。

仮分割の仮処分?

遺産の一部分割には相続人全員の同意が必要ですので、一部分割にすら応じない相続人がいる場合には、有効ではありません。

また、仮払いの制度は、金融機関ごとに限度額があるので、これを超える金額の払戻を受けることはできません。

このような場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てた上で、遺産分割前の仮処分手続を利用して、一部払戻しを受けることが考えられます。

もっとも、公権力を利用して払戻しを受けることになるので、厳密な要件が設けられています。

仮分割の仮処分を利用できる場合とは?

① 故人が養っていた相続人の生活費や施設費用の支払に必要不可欠な場合

相続人が自分の収入で支払えないことを証明するため、収入資料や相続人名義の預金通帳の提出が必要です。

② 故人の生前の医療費や借金の支払に必要不可欠な場合

医療費や借金が分かる資料の提出が必要です。

③ 葬儀費用や相続税といった相続関係費用の支払に必要不可欠な場合

葬儀費用や相続税の見込みを明らかにする資料の提出が必要です。

これらの手続は裁判所を利用することになり、一般の方が自分でするのは難しいと思われますので、遺産相続に強い弁護士の無料相談をご利用ください。

遺産相続に強い弁護士への相談が必要

このように、預金の相続や引き出しには様々な難しい問題がありますので、遺産相続に強い弁護士への無料相談をされることをお勧めしております。

遺産相続の専門家には、弁護士のほかに、司法書士、税理士がいます。

司法書士は登記の専門家、税理士は税の専門家ですが、法律の専門家ではないため、法的に難しい問題が生じた時に対応ができません。

弁護士は、遺産相続の手続にも紛争にも精通しておりますので、遺産相続の最初から最後までトータルサポートさせて頂くことが可能です。

法律事務所リンクスでは遺産相続問題に強い弁護士が無料相談を実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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代表弁護士 藤川 真之介
弁護士登録番号35346

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