父の遺産を母が独り占め?親が遺産をくれない場合の知恵は?
遺産分割調停を起こして後妻による遺産の独占を阻止した事例
遺産相続で母が全額を取得するのは許される?
母は被相続人である父から見ると配偶者(妻)に当たりますが、子供がいる場合の配偶者の法定相続分は2分の1なので、それ以上の遺産を取得するには子供の同意を得る必要がありますし、子供が2人いる場合には、両方の子供の同意を得る必要があります。
このページでは、母が遺産をくれない場合に、子供が弁護士に依頼して法定相続分を確保することに成功したリンクスの解決事例をご紹介しますが、そもそも父の遺産を母が独り占めする場合にはどのような対処法があるのでしょうか?
父の遺産を母が独り占めする場合の知恵は?
- 父の遺産を把握していない場合には母に相続財産の開示を求めることになります。
- 遺産の開示を受けたら母に遺産分割協議を申し入れましょう。
- 遺産分割協議に応じない場合には遺産分割調停をするほかありません。
母が遺産を独り占めした事例
- 被相続人 父
- 相続人 依頼者:長男(二男の相続放棄により4分の1→2分の1)相手方:義母(2分の1)
- 相続財産 長男居住不動産①(不明)、義母居住不動産②(不明)、義母管理の預貯金(800万円)
前妻の子である長男が、自身が住んでいる父名義の不動産の名義変更を求めたところ、後妻である義母が弁護士を立ててきたということで、ご相談にいらっしゃいました。
前妻との間にはもう1人子供がいるのですが、長男が父名義の不動産を確保するのに協力するため、相続放棄をしてくれて、長男の法定相続分は4分の1から2分の1に増えています。
リンクスからの提案
- 不動産の査定
本件では父の遺産を把握しており、遺産分割の際には不動産の評価が問題になることが明らかだったので、長男居住不動産と義母居住不動産の査定を取ることにしました。 - 遺産分割協議
当方が考える長男居住不動産と義母居住不動産の査定を送付して、相手方がどう考えるかについて回答を求めることにしました。る。 - 遺産分割調停
不動産の評価について折り合えなければ遺産分割調停を申し立てるほかないので、遺産分割調停を申し立てました。
1 不動産の査定
長男の居住する不動産と義母の居住する不動産の価値が分からないため、預金をどのように分けると全体として2分の1になるのかが決められず、遺産分割ができない状況でした。
不動産の価値は市場価格(時価)とするのが原則ですが、双方が固定資産評価額や路線価で同意できるのであればそれでも構いません。
ただ、不動産屋に依頼すれば市場価格の査定をしてくれることが多いので、まずは簡易な査定を取ることが多いです。
本件で査定を取ったところ、長男居住不動産は1200万円、義母居住不動産は2000万円という評価でした。
2 遺産分割協議
リンクスの弁護士は、この査定を基に、長男が居住不動産1200万円+預金800万円を取得し、義母は居住不動産2000万円を取得する遺産分割案を提案しました。
これに対し、義母側の弁護士は、義母の居住不動産の査定が高すぎるし、長男の居住不動産の査定が安すぎるという回答をしました。
そこで、リンクスの弁護士は、義母側の方で査定を取るよう求めましたが、義母側の弁護士はなかなか査定を取らず。時間だけが過ぎて行きました。
3 遺産分割調停
リンクスの弁護士は、埒が明かないと考えたので、速やかに遺産分割調停を申し立てることにしました。
調停委員からは、全部の預金が長男に行くことへの抵抗が示されましたが、義母側が査定を提出しない以上、こちらとしても譲歩できないということになりました。
結局、不動産の評価額で折り合いがつかなかったため、不動産鑑定を実施したところ、当方の査定がほぼ正しいことが認められ、長男は居住不動産1200万円+預金800万円を取得することに成功しました。
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